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メンテナンスとワイヤリング

“石橋をたたいて渡る”とは、用心の上にも用心を、という慎重姿勢を指す言葉ですが、新PCへの引っ越し作業を終えた私としては、創作活動へのはやる気持ちを抑えて、まさに“石橋をたたいて渡る”状況にあります。メンテナンスと機材関係のワイヤリングの話です。

まずはメンテナンスについて。
過去に何度もPCがクラッシュする、WindowsのOSが立ち上がらないというトラブルに遭遇したことがありますが、それは、Windows7から10へのアップグレード時でドライバを失ってしまったり機能しなかったりといった部分から始まって、アップデートに失敗とか、いくつものソフトウェアのインストールで何らかの不具合が生じて、その対処のためにBIOS関係をいじり出す…と、よく起こります。原因追及と改善策が逆効果になったりとか。とにかくこうしたトラブルで四苦八苦したことが何度もあります。
私が今回、今年の初め、PCの引っ越しをおこなったのは、もともとPCの機械的な部分の欠陥が原因なのですが、いずれにしてもこうしたトラブルによってその間、制作がストップしてしまうわけです(クライアントの要求に応えられないというのは、かなりやばい話になってきます)。

そうしたトラブルをできるだけ回避するため、バックアップ体制をしっかりとること。その一つの対策として、「回復ドライブ」と「システム修復ディスク」を作成する、というのがあります。
もう一つ、これはもう絶対的な義務であろう、作業フォルダのバックアップは言うまでもありません。作業フォルダとは、CubaseやPro Toolsで使用するオーディオ・ファイルやプロジェクト・ファイル、その他諸々のファイルのセットを指しますが、以前、PCのトラブルで大事な曲の作業フォルダが丸々消えてしまったことがあります。事前にバックアップしておかなかったのです。
この時の反省を踏まえ、それ以後の制作では必ず、その都度作業を終えた時点で作業フォルダをまるごと外付けHDDにバックアップするようにしています。その都度です。

私は今回、初めて「回復ドライブ」と「システム修復ディスク」を作成しました。
これはWindows 10の機能で、簡単に言えば、システムに不具合が生じて起動しなくなった際、外部にバックアップしておいたドライブとディスクを使用して、システムを復旧させる、というものです。
どちら…
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新PC引っ越し作業完了

「新PCへの引っ越し作業」でお伝えしたとおり、1月から続いていたXPS 8910(Intel Core i7-6700/4.0GHz/Windows 10 Home)におけるソフトウェアのインストール及び各種設定などの作業が、昨日ようやく完了しました。 先週、メンテナンスから戻ってきたPCはHDD内のデータが無事で再インストールの必要もなく、昨日の時点で、Apollo FireWireインターフェース及びPro Tools 12の正常起動を確認しました。これにより、旧PCとほぼ同等の状態になったわけです。正直、一度は地獄をみたのですが、ここまで辿り着いてほっと胸を撫で下ろしています。
蛇足になりますが、Apollo FireWireインターフェースを使うために、今回のインストール作業の準備段階では、PCのボディを開封し、IEEE 1394b(800ポート)の増設、つまりUNIVERSAL AUDIOが推奨しているPCIe「Allegro FireWire 800 PCIe Card」の取り付けをおこないました。これは昨年9月、初めてこのインターフェースを旧PCに取り付けた作業(「Apollo FireWireという選択」参照)とまったく同じですが、さすがに最新のXPS 8910はボディを開けるのも簡単。ネジを緩める必要もなく、ケースを開けて電源ユニット基板を持ち上げるだけでスロットを増設することができます。 また、PC内部のCMOSバッテリー(ボタン電池)の位置も中央に確認しました。例えば旧来のPCはこれが端に設置してあったりして、電池を取り替えるのに非常に苦労したのを憶えています。中央の位置なら手が届きやすく、取り替え(あるいはBIOSリセットの時とか?)の作業もしやすいでしょう。
PCの移行作業においては、各種ソフトウェアやプラグインなどのオーソライズがとても重要になります。というか、とても面倒です。USBスティックであるiLokに収納してあるソフトウェアの認証は比較的楽ですが、インストール・マネージャーといったようなソフトウェアを使用して認証する場合は、個別にやり方が違うので、多少のトラブルに遭遇し、うまくオーソライズできない、といったこともあります。例えば私の場合、うっかりWavesプラグインのライセンス認証をクラウドに戻すのを忘れてしまい、慌てて旧PCを…

引っ越し作業が水の泡

誠に残念なご報告をしなければなりません。 前回(昨日)の「新PCへの引っ越し作業」で書いたとおり、新しいPCへの移行作業はほぼ完了し、その最後の最後、Apollo Firewireインターフェースの設定も済んだ状態でした。
ここで私はよせばいいものを、例えて言うなら、「99%の最良な状態」を「100%」に完璧に仕立て上げようと、安易にUEFI設定のセキュアブートをいじってしまい、再起動しようとしたら、BIOSが起動しなくなってしまいました。 メーカーでのサポートと電話にてやりとりした結果、いっぺん回収した方がいいということになり、結局PCをメンテナンスに出すことにしました。 ネット上の情報では、回復ドライブを作成し…云々といった策もあるにはあるのですが、これ以上安易に策を講じていくのはやめておこう(これ以上最悪な状態は避けたい)という判断により、専門的な技術者に診てもらうべく、PCの回収を依頼しました。
もし、数日後あるいは数週間後、無事の状態でPCが戻ってきた時には、なんとか制作作業に入れるかと思います。しかしそうでない場合は、もう一度これまでのインストール作業をやり直さなければならず、また数週間かかるということになります。
現段階ではここまでご報告いたします。 なかなか制作に入れず、まことに申し訳ありません。

新PCへの引っ越し作業

先月、「舞踏のための音楽プロジェクト」が終了し、その直後より、新しいPCの導入に伴い、引っ越し作業すなわちハードウェア及びソフトウェアの全面的なセッティング&インストール作業を開始しました。ちなみにPCのスペックは、「DELL XPS 8910」のIntel Core i7-6700/4.0GHz/Windows 10 Homeです。

これがまたたいへんな作業で、年々使い込むソフトウェアが増加し、膨大な数のソフトウェア及びプラグインをインストールするという、ちょっと気が遠くなるような作業なのですが、旧PCはどうも電源ユニット又はマザーボードあたりが欠陥だったようで、「舞踏のための音楽プロジェクト」の制作では、毎回Windowsの起動に1時間ほど要していました(再起動やフリーズを繰り返していた!)。それももう致命的で駄目だろうということで、今回の新PC移行を企てた次第です。

現在、インストール作業の最後の最後、Apollo FireWireインターフェースの設定で手間取っています。これが済めば、なんとか制作段階に進めるはずなのですが…。また追ってご報告いたします。

Can You Hear? Bunny―舞踏プロジェクト終了

2015年4月に始動してから1年と9ヵ月、「舞踏のための音楽プロジェクト」が2017年1月についに完結し、全13曲を公開して終了いたしました。皆様のご愛顧ありがとうございます。

大まかに掻い摘まめば、20代の頃の演劇における“ミュージック・コンクレート”への憧れ、昨今の国際的な舞踏の潮流、私が個人的に興味を抱いた身体パフォーマンス――2015年1月にニューヨークのPerformance Space 122でおこなわれた『RUDE WORLD』、2000年代におこなわれてきたドイツのアーティスト、サシャ・ヴァルツによる一連の公演――などの想起によって、《舞踏》と《音楽》との関わり合いを強く意識し、今プロジェクトを始めた次第。最初は漠然としていた《舞踏》というカテゴリーに対して、徐々にその本質的な部分が浸透し、《音楽》の曲としてなんとか精通し得たのではないかと思います。しかしこれもまた、100の理解のうちの1に過ぎないのではないでしょうか。

そんなことで予想以上に制作が長期的になり、実験を始めると次の実験が浮かび上がってきてその繰り返し、という事態で、反省すべき点は多々あります。「Evolution and Civilization Water」における紺野秀行さんのケンケニの演奏は、2015年の11月にレコーディングされていながら、SoundBowというアプリによって曲の構成が固まるまで、およそ10ヵ月経過していたり、下駄を使ったリズムの演奏がまるまるボツになったり、コンピューター上のトラブルで主要なプラグインが使えなくなる事故が発生したり、そういうたぐいになるとキリがありません。

2016年の秋以降、第12曲目の「Can You Hear? Bunny」のあたりになると、もはや自分のやった仕事(演奏)の記憶が朦朧としてあまり憶えていないということも。この曲はOP-1で基礎的なリズムを構成していますが、そのあとRoland JD-Xiシンセでどんな上モノをダビングしていったのか、ちょっと記憶が飛んでしまっています。
ちなみにこの曲のジャケットは、私の友人の、若き“演劇人”でもある金澤卓哉さんの日常的なフォトグラフを本人にちょっと頼み込んで採用しました。この曲のどこか飄々とした雰囲気が、ジャケットのイメージにも現れていると思います。こうしたフォトの採用は、自作自演を…

「Julian」の荘厳な響き

「舞踏のための音楽プロジェクト」第8弾の「Julian」。ピアノとシンセ・パッドによる荘厳な響き合い。
「New Dream」の曲の最後で、歪んだノイズの中から小さく徐々に浮き上がってくるピアノのフレーズはこの「Julian」に引き継がれ、ある意味、これら2つの曲は組曲のようになっています。 しかし、そのピアノのサウンドはまるで違っていて、「Julian」のピアノはとてもクリアなサウンドになっています。ちなみに、「New Dream」の方のピアノは、MODARTT Pianoteq 5 PROの“D4 Jazz BA”。「Julian」のピアノはCubaseで打ち込みをおこない、同ソフトウェアの“Model B WIDE”を使用し、こちらはハーモニック・ペダルをオンにしています。
連なったピアノをイメージするため、ミキシングの段階で「Julian」のピアノには同じリバーブ、すなわちWaves H-Reverbの“Large Bright Hall”を使おうかと思いましたが、考えを変えました。たとえピアノが同じようなフレーズでも、それぞれ曲の方向性がまったく異なるのです。それを言葉で言い表すのはとても難しいのですが、「Julian」のピアノには独特の静謐さと力強さがあります。やはりそれは、同じリバーブで処理をしても意味のないことなのです。
「Julian」で使ったリバーブは結局、OXFORD REVERBの“Hall”でした。こちらのリバーブ・タイムは1.41秒です。ホールをシミュレートしたとても生々しい響きで、ただ豊かなだけではなく、耳できちんと、その仮想ホールの壁に当たった跳ね返りの反射音を感知できると思います。つまり、「Julian」という曲の方向性では、「室内の空間」の響きが重要だったのです。  この曲のミキシングは、いい意味でデジタル臭さを失って、アナログのナローな位相や僅かな歪み感がピアノの骨格の心部を形成し、その響きが適度な湿り気を帯びています。ピアノが単にその音程の弦を叩いて鳴らしているだけではなく、もっと複雑な神秘的な、音の強弱や密度感であるとか反射音の鳴り方、そうした様々な要素でその音の世界が構築できるという点で、ピアノは楽器のクイーンであり、音の珠玉であると思います。

「New Dream」のノイズの海原

「舞踏のための音楽プロジェクト」第7弾「New Dream」のレコーディングとミキシングについて解説したいと思います。

この曲のレコーディングは昨年の3月におこなわれましたが、音源はRoland JD-XiシンセとMODARTT Pianoteq 5 PROソフトウェアのみ。全6パートとなっています。
この曲は打ち込みではありません。おそらく何の予定調和もなく、決められたモチーフもなく、JD-Xiでいろいろ音を出しながら一つ一つのパートを録っていき、最終的にはああいった曲の形になったと思われ、それをやった私自身も、どんなふうになるのかまったく予測できない中で、音を積み重ねていったのだと思います。そうして結果的には、最後のピアノのフレーズが、そっくりそのまま、「Julian」に引き継がれるわけです。

この曲の個々のパートでは、JD-Xiから音を出す段階で、既にモジュレーション系やディストーションのエフェクトがかけられ、Pro Toolsでのミキシングでは、EQ&コンプ処理と、ピアノのパートにかけられたリバーブが主だったプラグイン処理で、大したことはしていません。
JD-Xiでのモジュレーション系(確かフランジング)とディストーションのかける比率というのは、その時の演奏のノリというか気分に左右されるもので、特に法則はありません。フランジングの周期などはテンポやリズムと相対的なものですが、ディストーションの割合はちょっとその時のアグレッシヴな気分の影響があったのか否か、いま考えるともう少しディストーションは抑えてもよかったかなとは思います。しかしこの歪みによるノイズの海原こそが、「New Dream」のコンセプトなりテーマになったとは言えます。

ミキシングの段階でこの歪みをさらに助長させているのは、Waves CLA-76のリビジョンBLUEYのコンプであり、ノイジーなパッドのパートには、かなりかけて持ち上げているので、そのノイズの海原が際立って聴こえます。最後に徐々に聴こえてくるピアノは本当はほとんどクリアであるにもかかわらず、歪んだように聴こえるのはそのためです。
このピアノのパートにかけたリバーブはWaves H-Reverbで、リバーブ・タイムが約4秒ほどある“Large Bright Hall”というプリセットを使っています。最後はかなり長い残響で少しずつ音が…