2016/09/08

apollo FireWireという選択

新たに導入したUNIVERSAL AUDIO apollo FireWire
本来、プロジェクト進行中・制作過程の最中に絶対やってはいけない、エンジニアとしては禁則的な状況を敢えて作り出してしまおうと決断したのは、ごく最近のことで、それは、“デジタル・オーディオ・インターフェースを替えてしまおう”という暴挙でした。

以前より、UNIVERSAL AUDIOのapolloシリーズには非常に興味を持っていましたが、もし導入するなら、「apollo FireWire」。これならWindowsで使用できるし、場合によってはThunderbolt(オプション)に切り替えて将来Macで…という利点がありました。しかし正直言ってThunderboltやMacにはあまり魅力を感じていません。むしろUADパワード・プラグインのRealtime Analog Classics Plusバンドルがすぐさま使えるという利点というか旨みの方が、私にとっては重要な気がしました。はっきり言ってアナログ・テープ時代と同様、DAWにおいても“録り”が最も重要であることを、最近つくづく痛感してきました。

「apollo FireWire」の導入。それを今すぐに…というのが今回の行動のアドバンテージでした。プロジェクトの途中でデジタル・オーディオ・インターフェースを替えてしまったら、がらりとサウンドが変わってしまうじゃないか、というのが本来の禁則要項です。こういうことはふつう、制作と制作の合間にやるべきことです。それを敢えてやる、やってしまおうと思い立ったのは、第六感の働き――「舞踏のための音楽プロジェクト」がそれを求めているような気がした――からなのです。

さて、FIREWIRE端子なんて、私が音楽制作で使っているメインPC、DELL Studio XPS 9100(Intel Core i7-930/2.80GHz/Windows 10 Home)で搭載されてるじゃんと思ったら大間違い。「apollo FireWire」で必要なスペックのFIREWIREはIEEE 1394(400ポート)ではなく、IEEE 1394b(800ポート)なのです。端子も6ピンではなく9ピン。そしてUNIVERSAL AUDIOが推奨しているPCIeは「Allegro FireWire 800 PCIe Card」。

PC内部。「Allegro FireWire 800」の取り付け
ということで「Allegro FireWire 800 PCIe Card」を買ってきて、早速PCを開け、カードを取り付け。取り付け自体はとても簡単なのですが、PCに接続されていた様々なケーブルを慎重に元に戻す作業は入念なチェックが必要でした。
これまで使用していたデジタル・オーディオ・インターフェース、MOTU 828xに接続されていたケーブルを外し、本体をどけた後、新しい「apollo FireWire」を設置してケーブルを元に戻す作業もまったく同じ。慎重におこないました。ちなみに電源ケーブルは、828xで使用していたOYAIDE製のケーブル(「L/i 50 G5」)をそっくりそのまま使用します。あとあと、FIREWIREケーブルもOYAIDE製に替えるかも知れません。

PCを起動させ、まずは「Allegro FireWire 800 PCIe Card」のドライバ&ユーティリティをダウンロードしてインストール。ここで一旦PCを再起動させた後、「apollo FireWire」のソフトウェアをダウンロードしてインストール。そしてまた再起動。こうして作業はすべて終わるはずでしたが、「apollo FireWire」をPCがどうもうまく認識していないトラブルに直面しました。
あれこれと調べた結果、先の「Allegro FireWire 800 PCIe Card」のユーティリティの設定で、2つのドライバ・モードがあり、それがMicrosoftモードになっていなかったのです。これの説明はどこにもありませんでした。Microsoftモードにしたら認識するようになるのではないか、と仮説を立てたのは私の直感です。実際、その通りになりました。

この瞬間、「apollo FireWire」はPCに正常に認識され、自動的にオーソライズされて、Realtime Analog Classics Plusバンドルのプラグインも有効になりました。これですべて完了です。

今回「apollo FireWire」を導入したデメリットの一つには、スペックにMIDI IN/OUTがないことだったのですが、これは仕方なく、別個にUSB経由のインターフェースを加えて、MIDIを使うことにします。
後日、テスト・レコーディングをおこない、サウンドや全体の使い勝手についてレポートしたいと思います。お楽しみに。

2016/08/29

「肖像」のマスタリングについて

ヴァージョン・アップしたWaveLab Pro 9
ピアノ曲「肖像」のマスタリングについて説明したいと思います。

[Dodidn*]の音楽ではほぼすべて、32bit浮動小数点/96kHzでPro Toolsにてレコーディングをおこない、2chステレオにミックスダウンしています。ミックスはアナログ出力でTASCAM DA-3000に落とします。この時のミックス・ファイルは、24bit/96kHzです。

以前はそのミックス・ファイルをPro Tools上でマスタリングしていましたが、結局最終的にSteinberg WaveLab Proで様々なファイルに変換する必要があるので、WaveLab Proだけでマスタリングできないかなと思ってはいたものの、以前はあまりそのソフトウェア内のツールに魅力を感じていませんでした。
ところがヴァージョン・アップしたWaveLab Pro 9は、ついに強力なマスタリング・ツールを搭載した画期的なヴァージョンとなり、これによってミックス・ファイルをWaveLab Pro 9でマスタリングした方がいいという結論に至りました。無論、ピアノ曲「肖像」はWaveLab Pro 9を使ってマスタリングした作品です。

master Rigの4バンド・コンプレッサー
ヴァージョン・アップしたWaveLab Pro 9のGUIは、視覚的にすっきりとして使いたいツールがとても分かり易く表示されています。ここで重要なのはWaveLab Pro 9で初めてM/Sの切り替えに対応したことです。
先ほど強力なマスタリング・ツールといったのは、master Rigのことで、イコライザー、コンプレッサー、サチュレーター、イメージャー、リミッターのモジュールを連結させてダイナミクスと音質を整えることができます。

リミッターのモジュール
「肖像」のマスタリングでは、基本的にミックスの音像や音質を大きく変えたくないと思ったので、master Rigの4バンド・コンプレッサーのこまかな設定による微妙な味付けであるとか、リミッターのBRICKWALLとMAXIMIZERの2つのモードの選択はとても大事な役割を果たしてくれました。
この曲ではBRICKWALLを選択して、それなりにゲインを上げているにもかかわらず、ミックスでのダイナミクスの印象をあまり崩さず、ナチュラルな感じを保ってくれたことに驚きました。ピアノのソロを一般のマキシマイザーを使って音圧上げをすると、粒が揃いすぎてしまい、印象が変わってしまうものなのです。しかし、master RigのリミッターのBRICWALLモードはそうならず、EDMだけに限ったリミッターではないなということが分かります。
私はミキシングの段階で、全体の音像や音質を可能な限り整えておきたいと思う方なので、「肖像」のマスタリングではとくに大きくEQやコンプでいじることはありませんでしたが、もし仮にいじる場合においても、master Rigは安心していじれるなという気がします。とても信頼感があるのです。

こうしてマスタリングされた「肖像」の最終ファイル=マスター・ファイルは16bit/44.1kHzであるにもかかわらず、ハイレゾの旨みを凝縮したまま、何も崩れていないことに驚きます。厳然とダウンコンバートされているのに、あまり印象が変わらないというのはすごいことだと思います。これが言わば、WaveLab Pro 9の最大の特徴かも知れません。ジャンル問わずでどんな音楽でも対応できるでしょう。

2016/08/24

「肖像」―芸術家の足踏み


大正期の洋画家・中村彝(つね)をモチーフにして、このピアノ曲をCubaseでプログラミングしたのは昨年の1月のことで、ほとんど直後に東京の下落合の「新宿区立中村彝アトリエ記念館」を訪れています。アトリエに辿り着くまでの道程で、このピアノの音が頭の中でリピートされていたことは言うまでもありません。もしその時何ら響くものがなかったならば、私はこのピアノ曲を棄てていたでしょう。

Sonnox OXFORD REVERB
MODARTT Pianoteq 5 PROソフトウェアを使ったこのピアノ・ソロは、今年の3月の時点で一度レコーディングされましたがそれはNGテイクと決め、今月の初めにまた録り直しています。
Pro Toolsでのミキシングでは、このパートにWaves SSL 4000Eのチャンネル・ストリップを挿し、僅かなコンプレッシングとEQを施しています。ここでのEQでは、低域と中低域を少しカットし、高域の12kHzあたりをわずかにブーストしました。
ピアノにかけるリバーブの選択は非常に悩みましたが、最終的にはSonnox OXFORD REVERBを選択し、プリセット“Concert Room”で適度な余韻を付加しました。ややリバーブの低域成分が邪魔に感じられたので、OXFORD REVERBのEQで低域を2.5dBほどカットしました。

NOMAD FACTORY MAGNETIC II
この曲はピアノ・ソロなので1パートしかありませんが、マスター・トラックにはNOMAD FACTORYのMAGNETIC II→WavesのSSL 4000Eチャンネル・ストリップというルーティングでプラグインを挿し、今プロジェクト作品の共通ルーティングとしています。この曲のピアノ・パートのように、主要なパートにはWaves SSL 4000Eチャンネル・ストリップを挿すのも、今プロジェクトにおけるサウンド・メイキングの共通した処理です。MAGNETIC IIはアナログ・テープの特性を模したプラグインであり、リミッター&EQの役割としてもたいへん重宝しています。

2016/08/04

進化と文明の水

SoundBowでのドローイング
「舞踏のための音楽プロジェクト」の大目標であったはずの、“アルバム”という括りが、この度外れてしまったことをまずお詫びいたします。
趣旨や中身はまったく変わらないのだけれど、制作期間が延び、その最終地点に到達しなければ個々の作品が発表できないことに疑問を感じるほど、むしろこのプロジェクトの深みにはまっている次第なのです。個人的にはとても面白い研究&実験プロジェクトです。“アルバム”という括りが外れた今、より多くの楽曲と向き合うことができています。

プロジェクトの大枠のテーマ、《舞台演劇、それも原始的な身体表現としてのミニマムなダンスに、いかに音楽は存在しうるか。その音楽表現からいかに身体表現は変化し拡張するのか》は変わりません。
また、《①仮想演劇=舞踏のモチーフを「人」「街」「踊り」に絞り、東京やパリ、ロンドン、モロッコの風景や物、人々、その喜怒哀楽などをモチーフにした舞踏をイメージ。②ダンス・ミュージックのようなものから幾何学的な即興音楽、シンプルなラヴ・ソングまでを盛り込んだ、文字通り舞踏のための》“作品集”になることも変わりません。

その大枠のテーマに最も近い、原始的な身体表現に通ずる、原始的な音楽とは何かを探るべく、実は昨年の11月、自己批判ショーの役者である紺野秀行さんに、ドラム&パーカッションの演奏をしていただき、それをソロで、複数のテイクにわたってデジタル・レコーディングしました。楽器はジャンベとケンケニです。
このうちの一つのテイクを、当初はアルバムのオープニングで使おうというところまでは決めていたのですが、具体的にどう処理するかまでは、決めかねていました(もちろん今年の初旬には、ある程度のアレンジはしていたのですが)。

Output Movementでリズムを生成
ところがようやく今頃になって、具体的な方向性が固まってきました。曲名は「Evolution and Civilization Water」といいます。
ホームページのコラム「SoundBowという抽象」で解説している、iOSアプリSoundBowの即興プレイがきっかけとなりました。正直私はこのアプリがとても使いづらくて、おそらくもう頻繁に使うことはないだろうと思っているのですが、なんとか我慢しながら即興を続け、いくつかのテイクを繋ぎ合わせたわけですが、それでも曲としての体裁に届いていないと不満に思いました。
そこで、そのSoundBowの繋ぎ合わせたテイクを、OutputのプラグインMovementにかけて新たなリズムを生成したところ、これが思わぬほど面白いリズムとなり、まるで太古の人類が創造した原始的なリズムのように感じたり、地球上の生物を大きく進化させる源となった水の存在の、その躍動的なウェーブのように感じられたりして、今プロジェクト作品集のオープニングを飾るに相応しいと思いました。

そう、このSoundBowによる原始的リズムから、紺野さんが演奏したリズムへと移行した時、まさに地球の歴史であるとか人類の歴史、すなわちそういう中で生まれた原初の音楽と向き合える格好の曲=「Evolution and Civilization Water」と成り得たのです。見方を変えれば、この曲はたいへんショッキングな曲となるかも知れません。どうかご期待下さい。

2016/07/21

よみがえった「明日の燈を」

「明日の燈を」Pro Tools画面
オリジナル曲「明日の燈を」の[2016 Version]が完成しましたので、この曲のミキシングについて解説したいと思います。尚これにより、古いヴァージョンの[2012 Version]は削除しました。ご了承下さい。

この[2016 Version]は、1999年当時のサウンドのニュアンスをほぼ踏襲しています。ちなみに、[2012 Version]のイントロで鳴っていたパワー感のあるシンセ・パッドはmicro KORGの音色だったのですが、ああいった派手なイントロはこの曲のイメージを損なっていた、という思いもあり、今回はできるだけ1999年のサウンドに近づける努力をしました。

ディレイはWaves Super Tap
ヴォーカル録りで使用したマイクロフォンはNeumannのTLM 49で、深めのコンプが掛かっています。ミキシングにおけるヴォーカル・パートのプラグイン処理は、まずディエッサーで歯擦音を抑え、コンプでゲインを上げ、EQで不要な低域の除去や高域の伸びを強調し、モジュレーションをかけてヴォーカルの音像が少し浮かび上がるようにしています。
さらにヴォーカル・パートにはディレイとリバーブがかかっていますが、ディレイは今回、WavesのSuper Tapを使用しました。

WavesのSuper Tapは非常に直感的なエディットができ、ディレイの音像を視覚的に操作しつつ、その左右のディレイのタイミングもリズムやメロディのノリに合わせて簡単にエディットすることができるのです。この曲においては、ヴォーカルにかかるディレイはとても重要な役割を果たしていて、これを外してしまうと、ヴォーカルのリズム感が失われてちょっと不自然になってしまうのです。

Waves Aphex Vintage Aural Exciter
それからもう一つ、ヴォーカル・パートには今回、WavesのAphex Vintage Aural Exciterをかましています。これはEQで高域の伸びを強調するのとは別物の、独特な倍音付加効果になり、一言で言えば音色が派手になります。
もともとエキサイターの効果は好きで、20代の頃やっていたミキシングでは、エキサイターもどきのEQ処理をヴォーカルに多用していました。ただしこれをかける際、やはりディエッサーでしっかり処理しておかないと、かえってヴォーカルが耳障りになってしまうので注意が必要です。

「明日の燈を」のオケは当時、YAMAHA QY-70でプログラミングしたために、パートの数がやや多く、チャカチャカとしたアレンジになっています。この曲のミキシングの難しさは、いかにオケのチャカチャカした感じをそのまま残しつつ、全体のレベルを整えることができるか、でした。
しかし逆に、過去の曲を再現することで、当時理想としていたオケの立体感の中に位置するヴォーカルとの関係、そのバランスについて、忘れていたものを思い出すきっかけとなりました。
立体的に膨らんだオケの中にヴォーカルを置くためには、ヴォーカルは深めのコンプをかける必要があること。リズムの肝となるバスドラやベースはこの音像の底部となるよう、浅めのコンプでアタックをほとんど削らないようにすること、など。

こうした立体的な音像を形成すると、リバーブもあまりかけなくていいという面があります。個人的には「明日の燈を」の制作で音楽の作り方、音の作り方の基本を学んだ印象が強いです。作るのはかなり難しい曲でしたが、それとは別に、純粋に曲の雰囲気やテーマなりを感じ取っていただければ、それで十分なのです。私自身、この曲のテーマに対する気持ちは、昔も今もまったく変わりません。是非、聴いて下さい。

2016/06/28

「rain rain rain―雨の記憶」のミキシング

air MULTI-DELAYエフェクト
「SC-88Pro ハチプロで創る。」プロジェクトで制作したオリジナル曲「rain rain rain―雨の記憶」のミキシングについて。

この曲のイントロのアコギのフレーズ、左右に飛び交うディレイ・エフェクトがかかっているのは、ハチプロ(Roland SC-88Pro)のインサーション・エフェクト“Stereo Delay”(+原音)とPro ToolsのミキシングでAUX送りした“MULTI -DELAY”エフェクトのプリセット、“Percussive Delay”との複合によるもので、これに多少のリバーブ(Lexiconのプレート)をかけてできたものです。

これを聴いて思い出したことがあります。昔、YAMAHAのシーケンサーQY-700で山下達郎さんのカヴァー曲をプログラミングした時に、アコギの16分音符が続くフレーズにところどころブラッシング・ミュート(ゴースト・ノート)をひとつひとつ打ち込むのにたいへん苦労して、デュレーションの付け方で変化を加えるのにとても時間を要したことがあります。そしてそうやって人工的にプログラミングしても結局、音楽的にリズムとうまく馴染まない、というような経験がありました。

air CHORUS
ハチプロでアコギにディレイをかけた状態で鳴らし、コード・プログレッションとシンコペーションを同時に作曲するという手法。まさに「rain rain rain―雨の記憶」の作曲はそこから始まったわけです。ブラッシング・ミュートをちまちまと時間をかけて打ち込むより、どれほど容易で音楽的か。

この曲のヴォーカルは、実は3つのトラックに分けて録られたもので、それぞれかけられたエフェクトが異なっています。“意味不明なスキャット”を歌っているヴォーカルにかかっているのは、“CHORUS”のプリセットの“Slow Stereo”で、先述した“MULTI DELAY”エフェクトのプリセット、“Percussive Delay”とLexiconのリバーブも少しかかっています。Lexiconのプレート・リバーブではプリ・ディレイ値もエディットされているため、リバーブ自体もディレイがかかっているわけです。

このように、主要なパートをディレイ尽くしすることによって、雨の連続性やリズム感を演出し、音の無限性についても感じられるかと思います。

Lexicon PCM Native Plate
しかし、この曲のミキシングで一番重要だったのは、アコギのアタックを残すことと、それぞれのパートの低域の処理。
まず曲の始め雨の実録音(SE)にはコンプレッションで上がってしまった低音が多く含まれていたのでこれをカットし、ヴォーカルその他のパートの80Hz以下についてもそれぞれ適切な量をカットしています。
ただし、バスドラの音は重たい低域感が欲しかったので、低域はいじりませんでした。ハチプロの音源は意外なほど周波数レンジが広く気持ちの良い音で、そのためクリアでありながら幾分かの柔らかさを持ち合わせています。当然、削ればシャープにもなり、非常に臨機応変に処理がしやすい音源なのです。

何度も言うように、「SC-88Pro ハチプロで創る。」プロジェクトは当初、SC-88Proを使うということの単なる実験のつもりでした。が、ハチプロの使いやすさと音の魅力の影響を受け、知らず知らず作曲に没入していって純粋な創作作業になっていってしまいました。
逆に言えば、作曲に没入できる音源というのは、とても大事なことだと思います。そういう音源と今回巡り合うことができ、なおかつ今後も継続して使っていくと思うので、よりいっそう新しい発見の機会があるかも知れません。

2016/06/19

「明日の燈を」のオケ大修正

Cubaseのテンポトラックエディターでテンポを修正
当ブログ「『明日の燈を』オケのレコーディング」でお伝えした、レコーディング済みのオケでヴォーカル録りを行おうと、先日、Pro Toolsでオケを走らせたところ、まったくヴォーカルがリズムに乗らない、間違ったテンポであることに気づき、急遽ヴォーカル録りを中止しました。
そしてそのオケの修正作業のため、再びCubaseのプロジェクト・ファイルを開き、結果的には大がかりな修正を施しました。

何故このようなことが起きたかというと、完成したオケでのヴォーカルのリハーサルを、なおざりにしてしまったからです。あまりにもこの曲と向き合う機会が多かったことがかえってわざわいして、この曲を知り尽くしていると思い込んでいたのだと思います。

そもそも当時の1999年オリジナル・ヴァージョンをプログラミングしたYAMAHA QY-70には、“グルーブテンプレート機能”というのがあって、プログラミングした曲を再生しながら、セレクトしたテンプレートでグルーヴを変えることができました。「明日の燈を」のオケはグルーブテンプレート機能で微妙なノリを作り出していた節があります。

したがって今回のリアレンジの作業では、同様のノリを再現する必要があったわけですが、ヴォーカルのリハーサルが不十分であったため、相応しくないノリの状態のオケのまま、レコーディングしてしまったのです。

救世主となったハチプロ音源
修正作業では、厳密なノリ(=groove)を再現するため、オケの肝となるパートをQY-70と限りなく近い音色、つまりスタンダードMIDIの音色に差し替えました。ハチプロ音源(SC-88Pro)を使ったのです。
QY-70とほぼ同等のQY-700の音源では、ヌケが悪くピンとこなかったのですが、ハチプロの音源を使うとこれが見事に解決できました。4パートほど、ハチプロ音源に差し替えました。

テンポは、Cubaseのテンポトラックエディターで修正し、ヴォーカルとオケが一体となるよう、部分的に1小節のみわずかに遅くしたり、2拍分だけテンポを変えたりと、普通に聴いただけでは気づかない程度に変化を付けました。テンポが遅くなるアウトロにかけての数小節に関しては、今回の修正点はなく、テンポが遅くなるタイミングはそのままの状態となりました。

次回、この修正されたMIDIファイルを使って、もう一度オケのレコーディングをおこない、ヴォーカル録りも済ませるつもりです。