2017/01/02

「Julian」の荘厳な響き

「舞踏のための音楽プロジェクト」第8弾の「Julian」。ピアノとシンセ・パッドによる荘厳な響き合い。

「New Dream」の曲の最後で、歪んだノイズの中から小さく徐々に浮き上がってくるピアノのフレーズはこの「Julian」に引き継がれ、ある意味、これら2つの曲は組曲のようになっています。
しかし、そのピアノのサウンドはまるで違っていて、「Julian」のピアノはとてもクリアなサウンドになっています。ちなみに、「New Dream」の方のピアノは、MODARTT Pianoteq 5 PROの“D4 Jazz BA”。「Julian」のピアノはCubaseで打ち込みをおこない、同ソフトウェアの“Model B WIDE”を使用し、こちらはハーモニック・ペダルをオンにしています。

OXFORD REVERBの“Hall”プリセット
連なったピアノをイメージするため、ミキシングの段階で「Julian」のピアノには同じリバーブ、すなわちWaves H-Reverbの“Large Bright Hall”を使おうかと思いましたが、考えを変えました。たとえピアノが同じようなフレーズでも、それぞれ曲の方向性がまったく異なるのです。それを言葉で言い表すのはとても難しいのですが、「Julian」のピアノには独特の静謐さと力強さがあります。やはりそれは、同じリバーブで処理をしても意味のないことなのです。

「Julian」で使ったリバーブは結局、OXFORD REVERBの“Hall”でした。こちらのリバーブ・タイムは1.41秒です。ホールをシミュレートしたとても生々しい響きで、ただ豊かなだけではなく、耳できちんと、その仮想ホールの壁に当たった跳ね返りの反射音を感知できると思います。つまり、「Julian」という曲の方向性では、「室内の空間」の響きが重要だったのです。
 この曲のミキシングは、いい意味でデジタル臭さを失って、アナログのナローな位相や僅かな歪み感がピアノの骨格の心部を形成し、その響きが適度な湿り気を帯びています。ピアノが単にその音程の弦を叩いて鳴らしているだけではなく、もっと複雑な神秘的な、音の強弱や密度感であるとか反射音の鳴り方、そうした様々な要素でその音の世界が構築できるという点で、ピアノは楽器のクイーンであり、音の珠玉であると思います。

2017/01/01

「New Dream」のノイズの海原

「New Dream」のオーディオ・クリップ
「舞踏のための音楽プロジェクト」第7弾「New Dream」のレコーディングとミキシングについて解説したいと思います。

この曲のレコーディングは昨年の3月におこなわれましたが、音源はRoland JD-XiシンセとMODARTT Pianoteq 5 PROソフトウェアのみ。全6パートとなっています。
この曲は打ち込みではありません。おそらく何の予定調和もなく、決められたモチーフもなく、JD-Xiでいろいろ音を出しながら一つ一つのパートを録っていき、最終的にはああいった曲の形になったと思われ、それをやった私自身も、どんなふうになるのかまったく予測できない中で、音を積み重ねていったのだと思います。そうして結果的には、最後のピアノのフレーズが、そっくりそのまま、「Julian」に引き継がれるわけです。

Waves CLA-76 BLUEYコンプ&リミッター
この曲の個々のパートでは、JD-Xiから音を出す段階で、既にモジュレーション系やディストーションのエフェクトがかけられ、Pro Toolsでのミキシングでは、EQ&コンプ処理と、ピアノのパートにかけられたリバーブが主だったプラグイン処理で、大したことはしていません。
JD-Xiでのモジュレーション系(確かフランジング)とディストーションのかける比率というのは、その時の演奏のノリというか気分に左右されるもので、特に法則はありません。フランジングの周期などはテンポやリズムと相対的なものですが、ディストーションの割合はちょっとその時のアグレッシヴな気分の影響があったのか否か、いま考えるともう少しディストーションは抑えてもよかったかなとは思います。しかしこの歪みによるノイズの海原こそが、「New Dream」のコンセプトなりテーマになったとは言えます。

Waves H-Reverb
ミキシングの段階でこの歪みをさらに助長させているのは、Waves CLA-76のリビジョンBLUEYのコンプであり、ノイジーなパッドのパートには、かなりかけて持ち上げているので、そのノイズの海原が際立って聴こえます。最後に徐々に聴こえてくるピアノは本当はほとんどクリアであるにもかかわらず、歪んだように聴こえるのはそのためです。
このピアノのパートにかけたリバーブはWaves H-Reverbで、リバーブ・タイムが約4秒ほどある“Large Bright Hall”というプリセットを使っています。最後はかなり長い残響で少しずつ音が小さくなって終わります。

2016/12/19

「悲しみのバルテュス」―その飛翔のために

チューブマイクPeluso 22 47
「舞踏のための音楽プロジェクト」。先日、「悲しみのバルテュス」(Balthus de tristesse)のヴォーカルのリレコーディングをおこないました。

昨年末に制作したこの曲は、パリ同時テロの鎮魂歌として、まったく非力ながら一心不乱に歌に思いを込めた小曲なのですが、パリでは、今なおテロの脅威で警戒が続く中、宗教の壁を乗り越えようと、市民レベルでの協調的な対話や語り合い、お互いを理解するための、“共生”へのボランティア活動が広がっていると聞きます。憎悪ではなく連帯の輪が広がることを期待します。

今回、「悲しみのバルテュス」をもう一度歌い直そうと思ったのは、当時あまりにも個人的な思惟のみの解釈でレコーディングしたことを反省し、よりこの曲が普遍的なものとなるよう、そのヴォーカルの様相(フォルム)を整えたいと思ったからです。
この考え方に至る過程においては、1年に及ぶ間、自身のヴォーカルのブレスの改善であるとか発声の仕方の修正に取り組んだ経緯があり、またオーディオ・インターフェースを替えたことによるヴォーカル・レコーディングの改善といった部分も影響があります。いずれにしてもそれらを「悲しみのバルテュス」で体現しなければならないと思いました。

昨年のヴォーカル・レコーディングの時にこだわっていた、“パンチイン/アウトを一切しない”という個人的なルールは採用しませんでした。しかしだからといって、継ぎ接ぎだらけのヴォーカルで整えようとも思いません。あくまで自然な成り行きで、不慮のミスを取り除く意味でのパンチイン/アウトならオーケーという柔軟な姿勢で臨みました。結果的には、2~3テイクほどをOKテイクとし、僅か一回のみパンチイン/アウトを施しただけで済み、この曲に対する気概と集中力は、決して失っていないと実感しました。

UA 1176LN Legacy
マイクロフォンは前回と同じ、コンデンサー型チューブのPeluso 22 47で、こうしたふくよかなニュアンスが必要な歌には最適な選択です(ちなみにマイクプリは、AVALON DESIGN M5)。
前回と異なるのは、オーディオ・インターフェースがUNIVERSAL AUDIO apollo FireWireになり、Consoleソフトウェアを通じて、UADのプラグインのUA 1176LN Legacyでヴォーカルに基礎的なコンプレッションを施したことです。
このUA 1176LN Legacyを通したヴォーカルが、また実にアナログっぽくて質感がいい。このコンプがあれば、如何様にもヴォーカルの音色とレンジを変えられるなあという印象で、たいへん重宝します。こうしたプラグインをレイテンシーを気にせず使えるというのは、本当に素晴らしいことです。

2016/12/15

「Málaga」―サウンドの自己主張比率

レコーディングされた各パートのオーディオ・クリップ
「舞踏のための音楽プロジェクト」。オリジナル曲「Málaga」のレコーディングについて。

この曲は、スペインの民謡・舞踊マラゲーニャの和声進行を借用してアレンジした、1分20秒ほどの小品。詳しくは当ブログ「マラゲーニャの魔法」で書いたとおり、既に今年の3月にCubaseでプログラミングされていたものです。
本当は「Málaga」にはヴォーカルを入れるつもりだったのですが、断念しました。その3月にPC内の不調(一部のプラグインが読み込めない)のトラブルに遭遇し、制作が途切れてしまい、半年以上ほったらかしにしてしまったため、ヴォーカルにかかる作業期間の猶予がなくなってしまいました。申し訳ありません。しかしかえって、インストのままの状態の方が、美しく艶やかなのではないかと思っています。

ところで今プロジェクトでは、今年の9月頃にUNIVERSAL AUDIO apollo FireWireのオーディオ・インターフェースを導入したせいで、それ以前にレコーディングした曲と、それ以降にレコーディングした曲との間に、録りのコンプとEQにおける音質の差が生じています。9月以降のレコーディングにおいては、Neve 88RSのチャンネル・ストリップを録りの作業で使用しているため、そのほとんどのソースがやや密度の詰まった、ほんのわずか重心の低いサウンドになっています。曲によっては、以前のオーディオ・インターフェースで録ったパートと9月以降にオーバー・ダビングして録ったパートとが混在していたりして、あくまで録りの段階においては、そのような部分での音質の差があります。

Native Instruments PRISM
Cubaseでプログラミングされていた段階のデモと、今回レコーディングした後の簡易ミックダウンによる「Málaga」のデモ・ファイルを自分で聴き比べてみて、やはりそのあたりの音質の差があって面白いなと思いました。変な話、レコーディングするとはこういうことなのだなと実感したのです。
この「Málaga」にはアフリカの民族楽器のパートに対し、Native Instruments REAKTORのPRISMとRAZORによる“不穏なシンセの音”が加わっているのですが、Cubaseの段階ではそれらが単なる添え物だったのに対し、レコーディングを終えた段階でのそれらは、明らかに自己主張をしたサウンドになっていました。まさにこれこそ、アナログ・ミキサー(をシミュレートした)の最大の特徴ではないかと思います。敢えて造語するならば、そのサウンドの“自己主張比率”がNeve 88RSを通すと数パーセント上がるのです。とても興味深いことです。

Native Instruments RAZOR
こうして考えてみると、オーディオ・インターフェースを替えるということは単にサウンドのディテールが変わるだけではなく、それによって生じる“自己主張比率”の兼ね合いでミキシングにも影響を及ぼし、各パートの定位や音量のさじ加減においてだいぶ変わってくるということになります。だからこそ、一つのプロジェクトの進行中途でオーディオ・インターフェースを替えることは禁則なのだけれど、今回その暴挙をやってみて、いい意味での実験となり、曲のアレンジで変化が生じたことは意外な効果だったかも知れません。
そういうことで「Málaga」に対しては、曲を作った私自身ですら、レコーディング後のサウンドの雰囲気によって、違う新たな観念や価値観を持つようになりました。曲の完成が楽しみです。

2016/12/01

「Shrike and Duck」のフォルムとモーション

「舞踏のための音楽プロジェクト」第6弾の「Shrike and Duck」について。モズとアヒルをモチーフにした、舞踏的ドタバタダンスのためのインストゥルメンタル。シンセサイザー、Teenage EngineeringのOP-1とRoland JD-Xiによるサウンド。

こういう趣旨の曲を手掛けている時がいちばん楽しいとつくづく思うのですが、つい昨日、テレビ番組の録画でたまたまコント55号(萩本欽一さんと坂上二郎さん)のコントを観ていて、はっと思いました。
坂上二郎さんがある「日常的な動作」をして、それに対してああだこうだと萩本さんに無理難題な突っ込みを入れられ、自ら動作に手を加えていく二郎さん。この時既に、最初の「日常的な動作」は変形し、動作に手を加えていくたびにその変形がさらなる変形となって、もはや「日常的な動作」の形はなく、非日常的な、まったく「奇天烈な動作」に変貌を遂げていく可笑しさ。
これを観ていて、まさにこれこそ、かつて舞踏家・土方巽氏が作り上げてきた舞踏のメタモルフォーゼなのではないかと気づきました。コント55号のコントで重要なのは、人が「動く」ということ、あるいはその想像を超えた「動き」の面白さであり、舞踏家・土方がおこなってきたことも同様に、規定概念や理屈を超えた「動き」(うごめき)であったかと思います。彼らが同じ昭和のある時代の先駆者であったことを考えると、時代の中の人々が抱えていた、「超えようとして超えられないもの」を彼らが舞台で体現してくれた、ということは言えるのではないでしょうか。

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さて、話は大きく変わって、「Shrike and Duck」のマスタリングにおけるちょっとしたこと。
以前にも書いたとおり、この「舞踏のための音楽プロジェクト」では、Steinberg WaveLab Pro 9を使ってマスタリングの作業をおこなっています。特にマスタリング・ツールのmaster Rigが素晴らしく、自在に入念にサウンドを整えることができます。
そうしたツールで処理をしていく前段階で、是非やっておくべき処理があります。クリップの頭と尻のフェード処理です。
曲のイントロがどのように始まるかは千差万別ですが、バーンと鳴って勢いよく始まるにしろ、ゆっくり弱い音で静かに始まるにしろ、フェード処理はしておく必要があります。特に小音量でモニタリングしている場合は分かりにくく要注意で、実際、ファイルを再生した瞬間から(音を録音開始した瞬間から)何らかのノイズがかぶっているものなのです。

波形をズームアップしてフェード処理の確認をする
通常の波形の状態では、クリップの頭と尻は無音だと認識してしまいがちですが、ためしにクリップの波形を大幅にズームアップしてみてください。これでかなり小音量の部分が拡大され、無音だと思われていた箇所が実は無音ではなかったことが分かります。このままだと、もし出力の高いモニターで再生した時、はっきりとノイズが聴こえてしまって処理が雑であることがばれてしまいます。
なので、マスタリングの処理の下ごしらえとして、クリップの頭と尻をきれいにフェード処理し、出力の高いモニターで再生しても聴感上恥ずかしくない形に整えます。

再生ボタンを押して何秒でイントロが始まるか、具体的に決めます。だいたい1秒前後だと思いますが、舞台などで使うソースとしては、トリガーの反応の兼ね合いで、1秒前後だと遅いことがあります。そういうソースの場合はコンマ何秒、ということになります。
イントロまでの秒数が決まったら、その間、つまり再生開始からイントロの出だしの音までを、フェード処理することになります。これはWaveLab Pro 9では実に簡単な処理で、その間を範囲指定し、フェード・イン又はフェード・アウトをクリックすれば、見事に綺麗な波形になります。フェードの曲線はいくつか種類があり、任意でそれを指定することができます。これらの処理はあくまで見た目の波形をズームアップしておかないと確認できないので、必ず波形をズームしてからおこないましょう。

音楽というのを、動物のフォルムやモーションと考える。「動き」には「間」というのがあって、その「間」のとり方次第で、フォルムが変わる。ここでいう音楽の「間」とは、その曲のイントロとアウトロを包み込む、クリップ上(ファイル上)の開始と終わりの秒数であり、再生開始からイントロまでの「間」、アウトロから再生終わりまでの「間」のことで、それが綺麗か綺麗でないかで曲のフォルムが印象づけられてしまうということ。美しく始まり、美しく終わるにはどう「間」をとったらよいか、これも音楽を思考する上での一つの要素だと思います。

2016/11/17

画像を音にした「Romanesque」

「舞踏のための音楽プロジェクト」第5弾は「Romanesque」。この曲の全般の制作を振り返りたいと思います。

レコーディングされた「Romanesque」のオーディオ・クリップ
ホームページのコラム「身体とRのインヴェンション」で書いた通り、この曲の前半部は舞踏家・土方巽の“身体画像”を用いて、それを音に変換してオーディオ・クリップをコラージュしています。一つは生写真そのままの画像、もう一つは色調を変え、赤と青のグラデーション処理を施した画像、さらにもう一つは別の調子のグラデーション処理をした画像の3画像をそれぞれMIDIデータ化して変換しているのですが、このままだと変換したデータは長尺でだらだらとしてしまうので、Pro Tools上で部分的にデータをカッティングして、それぞれピアノ(ホンキートンク・ピアノ)、ウッドブロック、シンセ・パッドの音源で鳴らし、UNIVERSAL AUDIOのNeve 88RSチャンネル・ストリップでコンプ&EQ処理を施しつつ録りました。
後半で突然現れるリズムは、Teenage EngineeringのOP-1です。これにRoland JD-Xiのヴォコーダー・プリセットを使って、私がフェイクを吹き込み、Pro Toolsでレコーディングしました。既にレコーディングの段階であのようなディストーションをかけ、ミキシングの段階でかなりコンプレッションしています。

SLATE DIGITAL VBC FG-REDコンプ
ミキシングでは主に、Waves CLA-76(2つのリビジョン:BLUEY、BLACKY)とSSL G-Channel(SSL 4000G)の組み合わせでコンプ&EQ処理をしました。しかもこの「Romanesque」では一切、ミキシング時に空間系のエフェクトを使用しませんでした。それぞれのパートのコンプ&EQ処理の仕方を変えることで、立体的なミックスを作り上げることができます。
センター位置に近い位置で鳴るピアノのパートはやや深めのコンプをかけ、鋭い高域成分を抑え、左右に広がっているウッドブロックのパートは逆にやや浅めのコンプ処理、高域もある程度フラットにすることで聴感上浮き上がって聴こえ、ピアノと相対的なレンジのバランスを取っています。こうすることで中央のピアノはやや重心が低く、左右の装飾リズムは反対に軽めの音になるので、全体が立体的になるのです。

トータル・コンプの肝、Waves J-37 Tape
トータル・コンプはSLATE DIGITAL VBC FG-RED、SSL G-Channel、そしてWaves J37 Tapeの組み合わせ。これまで何度も使用してきた、2MIX用定番の組み合わせです。全体の粒を揃え、低域と高域の過不足を整え、デジタルのガッツリしたサウンドをJ37 Tapeで聴き易く抑え込む。マスタリングの行程を控えているから、あまりここでレベル的にサウンド的に追い込まないようにするのがコツです。追い込みすぎると、ここまでで築いた立体的なサウンドが台無しになり、それぞれのパートの持ち味を失ってしまいます。冷静に、着実に。石橋をたたいて渡ること。

2016/11/03

失踪した身体―「Disappearance was Body」

ツィンバロムのパートのピアノロール画面
「舞踏のための音楽プロジェクト」第4弾は「Disappearance was Body」

ソロで踊るためのもの、それも今プロジェクトの“身体表現”の核心に迫るようなもの、というコンセプトから、この曲は4分50秒ほどで構成されています。
タイトルの通り、テーマは「失踪した身体」で、半音階を用いたゆっくりとしたメロディで何かできないかという発想から、そのメロディの音源はツィンバロム(Cinbalom。ハンガリーあたりで用いられる打弦楽器)で、と決まりました。このツィンバロム音源はモデリング音源ソフトウェア、MODARTT Pianoteq 5 PROのCimbalom Balázs Kovácsであり、そのプリセットは“Cimbalom soft”を使用しています。

Native Instruments KINETIC METAL
Cubaseでプログラミングしたのはこのツィンバロムに加え、機械的なサウンドを装飾したKINETIC METAL(Native Instruments KOMPLETE 11のKONTAKT音源)のプリセット“Humming Top”、UVIソフトウェア・シンセのPX apolloのプリセットの“Poly Love”、そしてKOMPLETE 11のKONTAKT音源のUNA CORDA。UNA CORDAは以前より使ってみたかった音源だったのですが、この度のKOMPLETE 11へのヴァージョンアップでようやく使用することができました。これら計4パートが「Disappearance was Body」のすべてのパートとなります。

Native Instruments UNA CORDA
ツィンバロムのメロディに対応し装飾的なパートとなっているHumming Topの特殊な機械音。それらの背景で目立たず、この曲の中でドローンのように存在しているのがUNA CORDA。UNA CORDAはDavid KlavinsとNils Frahmが開発協力した一本弦によるアップライトピアノで、その響きは実に独特です。この曲に関して言えば、メインのツィンバロムを支える脇役的存在となっています。

テーマの「失踪した身体」についての言及はここでは避けますが、ツィンバロムによる半音階のメロディと、特殊な機械音の反復がこのテーマのイメージを構成するものであり、これによってどのようなソロの舞踏が為されるのか、舞台への想像が已みません。