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「ego and nal」の煮こごりサウンド

前回からの続きで、オリジナル曲「ego and nal」のミキシングについて。

実は今回のミキシングにあたって、ちょっと実験してみようと思ったのは、日頃あまり使わないプラグインのコンプやEQをそれぞれのパートで使ったらどうなるか、だったのですが、やってみてすぐさまやめました。
とても繊細な話なのですが、日頃あまり使わないコンプやEQで「イメージしている音」を再現するのに、時間がかかってしまう…。それはほんの数分の違いかも知れないけれど、その数分の違いは、ミキシングという作業で重要な「全体の音像作り」の組み立て方や効率を損ねてしまうことになる。特にリズム系のパートのまとまり感を出すには、それぞれのパートの処理をテキパキとこなし、複数のリズム系パートのバランスを図らなければならないので、いちいち一つのパートに時間を要している場合ではないのです。慣れたコンプとEQによって、そそくさと処理していった方が、「全体の音像作り」に貢献します。

私にとって慣れたコンプとEQというのは、もうお馴染みの、UNIVERSAL AUDIOのNeve 88RSであり、WavesのCLA-76(リビジョンBLUEY&BLACKY)であり、API 550Bであり、それからSSL4000Eと4000Gのチャンネル・ストリップです。
今回の「ego and nal」のミキシングでは、ほとんどすべてのパートで550B→CLA-76という組み合わせで処理をしました。私にとってこれがいちばん処理の効率が良い…。

この曲で基礎のリズムとなっているOP-1シンセのパートは、中域を軽くカットし、12kHzをシェルで少しブーストし、低域はいじらず。コンプ処理はアタック遅めでリリース速め。後付けのダビングで加えたJD-Xiシンセによるスネアも似たような処理で、ハイハットやシンバルに対しては、低域のあたりを削ってすっきりさせた上で、コンプ処理はややアタック速め、リリースやや速めの処理。こうすることで、基礎のリズムの音像よりもハイハットやシンバルの音像の方がその内側で小さくまとまり、サウンド自体もシュン、シュン、シュンといった鈍い金属音のような感じになって、わざと基礎のリズムの高域とぶつからないようにしています。

この曲では1パートだけ、アクセントとなるKORG minilogueのシンセ・オルガン的なメロデ…
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紺野さんのカスンケ―そのアフリカンなリズム

月日が経つのは早いのか遅いのか、もうそのあたりの時間的感覚が麻痺してしまっていて、半年前を振り返ったと思ったら、それは2年前のことであったり、逆に1年前と思うことが、まだ数ヶ月前のことであったりと、記憶の中の時系列がバラバラになっていることに気づいたりします。日頃、「音楽を作る」ということに溶け込んで、音楽に接する感覚のまま、日常の物事をとらえようとすると、そんなふうになってしまいます。5分の曲の内容が、自分にとっては10年の歳月の物語であったりするので、もはやこういった時間的感覚の冷静さは、取り戻せそうにありません。

昨日の夜、自己批判ショーの役者さんである紺野秀行さんのアフリカン楽器、“カスンケ”によるソロ演奏でリズム録りをおこないました。ついこのあいだ彼のウォッシュボードでレコーディングしたと思っていた「東京マタニティ」は、もう2年前の出来事になります(当ブログ「シャカシャカシャカっとウォッシュボード」参照)。そして今年1月に終了した「舞踏のための音楽プロジェクト」の作品「Evolution and Civilization Water」でのケンケニのレコーディングは、2015年11月のこと。今回のレコーディングはそれ以来となります。

アフリカンの筒型の太鼓である“カスンケ”を紺野さんに見せていただいたのは、昨年の確か10月末のこと。クロッシュという片手で持って鳴らすベルも一緒に見せていただきましたが、“カスンケ”はかなり図体の大きな太鼓であり、音もさすがにファットで低域がラウド。その時、「次回のレコーディングはこのカスンケでいきましょう!」と決まってから、約半年経過。やりたいと思っていたのは、例の「舞踏のための音楽プロジェクト」の延長のようなもの。テーマは“愛”。この曲が目指しているのは、暗黒舞踏家の土方巽とフランスの作家ジャン・ジュネの詩の世界観をあらわすような、かなり濃厚でロマンチックなもの。紺野さんの“カスンケ”のリズムを基礎に、そこからメロディを紡ぎ出し、歌を吹き込みたいと思っています。もちろん、完成までにはまだ時間がかかります。
今回のレコーディングでは、2本のダイナミック型マイクロフォン、SHURE PG56を使い、それぞれを内側に傾けて、太鼓の縁あたりをポイントにしてセッティングしました。とにかく今回は“カスンケ”のダイナミックな音をとらえるた…

「ego and nal」さらなるダビング

前回お伝えした「『ego and nal』のレコーディング」の続き。

3月末の時点で、シンセRoland JD-XiとKORG minilogue(1パートのみ)を使ったダビングを終え、ミキシングの行程に突入するつもりでしたが、客観的に何回か聴き直しているうちに、もう少しパートを増やした方がいいと感じ、今回さらにYAMAHA MOXF6を使って、サウンド・エフェクト的な要素のパートを5つほど追加しました。ここまでで計19パートのトラックとなっています。

MOXF6の総音色数は、ひっくるめると、1,152ノーマルボイス+72ドラムキットということになっており、特にスタンダードな楽器の音色がほとんど網羅されているのはたいへん重宝します。今回追加したパートはサウンド・エフェクト的なものでしたが、こういう音色が欲しい…とイメージした音色を手早く見つけて演奏する上では、この手のシンセがないとちょっと苦労します。以前より、私が所有しているRoland SC-88Pro(通称ハチプロ)もこうした扱いが最大のメリットとなりますが、MOXF6の方は作業上、メインのMIDIキーボードともなっているので、こちらの方が手早さでは上回ります。おそらく今後、自身のシステムの中で、こうしたシンセの使い分けや役割分担が慣習化されるのでは、と思っています。

レコーディングの作業においては、昔からずっと、“レコーディング・シート”なるものをあらかじめ用意しています。このシートには、レコーディングの際に一つ一つパート名を書き込んで、どの機材のどのプリセットを使ったか、またそのデフォルトのプリセットを変更した場合はどこの設定をどういじったかを別途の紙に記録したりしています。生録をおこなった場合でも同様で、パート名、使ったマイクロフォン名、アンプ名、コンプの設定数値などを書き込みます。

この“レコーディング・シート”は、アナログ・ミキサーとテープ・レコーダーを使っていた頃の名残であり、プロの現場ではごく当たり前に作成するものです。マルチ・トラック・テープのどこにどんなパートが録音されているのかを記録しておかないと、第三者がテープを扱った際に何がどこに録音されているのか皆目見当もつかなくなるからです。そしてまた別の目的では、これがそのスタジオで作業したことの記録明細にもなります。

昨今の個人の自宅録音では…

「ego and nal」のレコーディング

今年、新しいPCに移行してからの、初めてのレコーディング。全体のシステムのフォーメーションは、果たして以前と同じ働きをしてくれるのか、やや不安げな気持ちの中、作業を開始しましたが、結果的にはほとんど問題なく作業が進行しました。

「ego and nal」という曲は、OP-1で打ち込んでおいた(OP-1内で録っておいた)ベーシックなリズム・パートをPro Tools 12で録り、そこにRoland JD-XiやKORG minilogueシンセでのパートをダビングしていくという手法によって作られています。既に現在、JD-Xiでのパート録りを終えています。

録りは、UNIVERSAL AUDIO Apollo FireWireのConsoleを使用して、Unizon対応マイクプリアンプのNeve 88RSのチャンネル・ストリップのコンプを経由しましたが、UADプラグイン・ヴァージョン9に含まれるConsole 2は、今回私は初めて使うことになります。その仕様は特に大きく変わっておらず、非常にシンプルな録りの作業だったので、違和感はまったくありませんでした。インストールに関連した何らかのエラーが出て作業が止まることをいちばん危惧していたので、こうして何事もなく作業が進むことが何より嬉しいのです。
Neve 88RSチャンネル・ストリップにおけるかけ録りは、レベルが荒れない程度にピークだけをやや軽く抑える程度に設定し、JD-Xiの入力レベルもそれぞれのパート毎に調節しました。音色と事前の加工(JD-Xi内で構築するヴォイシングに対するエフェクト)によってはレベルを稼がなければならないものがあったり、逆に入力レベルを抑えなければならないものがあったりするので、コンプの設定を一定にしたまま、Pro Tools側のピーク・メーターを監視しつつ、シンセの入力レベルをその都度調節する方が作業の効率が捗ります。
「ego and nal」のそれぞれのパートは、事前に決定していたものではなく、JD-Xiの音色カテゴリーをまず適当に選択し、そのうちのプリセットを次々と試聴してピンとくるものを決定しています。4小節のパターンではなく8小節のパターンになっているのは、音程がグライドしているパッド系のパートをリズムに合わせて最初にダビングしたからであり、この8小節のパターンがこの曲の基礎進行…

メンテナンスとワイヤリング

“石橋をたたいて渡る”とは、用心の上にも用心を、という慎重姿勢を指す言葉ですが、新PCへの引っ越し作業を終えた私としては、創作活動へのはやる気持ちを抑えて、まさに“石橋をたたいて渡る”状況にあります。メンテナンスと機材関係のワイヤリングの話です。

まずはメンテナンスについて。
過去に何度もPCがクラッシュする、WindowsのOSが立ち上がらないというトラブルに遭遇したことがありますが、それは、Windows7から10へのアップグレード時でドライバを失ってしまったり機能しなかったりといった部分から始まって、アップデートに失敗とか、いくつものソフトウェアのインストールで何らかの不具合が生じて、その対処のためにBIOS関係をいじり出す…と、よく起こります。原因追及と改善策が逆効果になったりとか。とにかくこうしたトラブルで四苦八苦したことが何度もあります。
私が今回、今年の初め、PCの引っ越しをおこなったのは、もともとPCの機械的な部分の欠陥が原因なのですが、いずれにしてもこうしたトラブルによってその間、制作がストップしてしまうわけです(クライアントの要求に応えられないというのは、かなりやばい話になってきます)。

そうしたトラブルをできるだけ回避するため、バックアップ体制をしっかりとること。その一つの対策として、「回復ドライブ」と「システム修復ディスク」を作成する、というのがあります。
もう一つ、これはもう絶対的な義務であろう、作業フォルダのバックアップは言うまでもありません。作業フォルダとは、CubaseやPro Toolsで使用するオーディオ・ファイルやプロジェクト・ファイル、その他諸々のファイルのセットを指しますが、以前、PCのトラブルで大事な曲の作業フォルダが丸々消えてしまったことがあります。事前にバックアップしておかなかったのです。
この時の反省を踏まえ、それ以後の制作では必ず、その都度作業を終えた時点で作業フォルダをまるごと外付けHDDにバックアップするようにしています。その都度です。

私は今回、初めて「回復ドライブ」と「システム修復ディスク」を作成しました。
これはWindows 10の機能で、簡単に言えば、システムに不具合が生じて起動しなくなった際、外部にバックアップしておいたドライブとディスクを使用して、システムを復旧させる、というものです。
どちら…

新PC引っ越し作業完了

「新PCへの引っ越し作業」でお伝えしたとおり、1月から続いていたXPS 8910(Intel Core i7-6700/4.0GHz/Windows 10 Home)におけるソフトウェアのインストール及び各種設定などの作業が、昨日ようやく完了しました。 先週、メンテナンスから戻ってきたPCはHDD内のデータが無事で再インストールの必要もなく、昨日の時点で、Apollo FireWireインターフェース及びPro Tools 12の正常起動を確認しました。これにより、旧PCとほぼ同等の状態になったわけです。正直、一度は地獄をみたのですが、ここまで辿り着いてほっと胸を撫で下ろしています。
蛇足になりますが、Apollo FireWireインターフェースを使うために、今回のインストール作業の準備段階では、PCのボディを開封し、IEEE 1394b(800ポート)の増設、つまりUNIVERSAL AUDIOが推奨しているPCIe「Allegro FireWire 800 PCIe Card」の取り付けをおこないました。これは昨年9月、初めてこのインターフェースを旧PCに取り付けた作業(「Apollo FireWireという選択」参照)とまったく同じですが、さすがに最新のXPS 8910はボディを開けるのも簡単。ネジを緩める必要もなく、ケースを開けて電源ユニット基板を持ち上げるだけでスロットを増設することができます。 また、PC内部のCMOSバッテリー(ボタン電池)の位置も中央に確認しました。例えば旧来のPCはこれが端に設置してあったりして、電池を取り替えるのに非常に苦労したのを憶えています。中央の位置なら手が届きやすく、取り替え(あるいはBIOSリセットの時とか?)の作業もしやすいでしょう。
PCの移行作業においては、各種ソフトウェアやプラグインなどのオーソライズがとても重要になります。というか、とても面倒です。USBスティックであるiLokに収納してあるソフトウェアの認証は比較的楽ですが、インストール・マネージャーといったようなソフトウェアを使用して認証する場合は、個別にやり方が違うので、多少のトラブルに遭遇し、うまくオーソライズできない、といったこともあります。例えば私の場合、うっかりWavesプラグインのライセンス認証をクラウドに戻すのを忘れてしまい、慌てて旧PCを…

引っ越し作業が水の泡

誠に残念なご報告をしなければなりません。 前回(昨日)の「新PCへの引っ越し作業」で書いたとおり、新しいPCへの移行作業はほぼ完了し、その最後の最後、Apollo Firewireインターフェースの設定も済んだ状態でした。
ここで私はよせばいいものを、例えて言うなら、「99%の最良な状態」を「100%」に完璧に仕立て上げようと、安易にUEFI設定のセキュアブートをいじってしまい、再起動しようとしたら、BIOSが起動しなくなってしまいました。 メーカーでのサポートと電話にてやりとりした結果、いっぺん回収した方がいいということになり、結局PCをメンテナンスに出すことにしました。 ネット上の情報では、回復ドライブを作成し…云々といった策もあるにはあるのですが、これ以上安易に策を講じていくのはやめておこう(これ以上最悪な状態は避けたい)という判断により、専門的な技術者に診てもらうべく、PCの回収を依頼しました。
もし、数日後あるいは数週間後、無事の状態でPCが戻ってきた時には、なんとか制作作業に入れるかと思います。しかしそうでない場合は、もう一度これまでのインストール作業をやり直さなければならず、また数週間かかるということになります。
現段階ではここまでご報告いたします。 なかなか制作に入れず、まことに申し訳ありません。