2015/06/23

マイクロフォンの話完了について

どこへでも持ち歩きたいTELEFUNKEN M81
ホームページ[Dodidn*]のEQUIPMENTSコラム、「マイクロフォンの話」がこの度最終回を迎え、私のマイクロフォン・コレクションの主要な16本についてご紹介できたことを、ここで改めて書き添えておこうと思います。

当初は16本も紹介することになるとはまったく思っていませんでしたが、3年前の2012年3月よりSHURE BETA 57Aでスタートしてから、つい先日最終回を迎えた、LAUTEN AUDIO FC-357 Clarionまでの16本。闇雲に売れ筋のマイクロフォンをコレクトしたのではなく、主にヴォーカルを収録するためにその折々で必然に駆られて購入したものが多く、その音色の特性はじつに様々です。

コンデンサー型、ダイナミック型、そしてリボン型と大別されたマイクロフォンにはさらに単一、無指向、双指向とそれぞれ指向性があって、中にはそれを切り替えることができる可変のマイクロフォンもあります。楽曲のキャラクターというかコンセプトによって使用するマイクロフォンを選択し、ヴォーカルの存在感を微妙に変えてレコーディング&ミキシングする上で、多彩なマイクロフォンを扱うのは非常に有効です。

ヴォーカリストによっては、私はこのマイクロフォンじゃなくちゃダメ、という人もいます。同じマイクロフォンを持ち歩いてスタジオ入りする方がおられます。実際に、違うマイクロフォンで録るとヴォーカルのニュアンスが変わり、その人の声じゃないみたい、という場合があるわけです。

そこで私は実験を試みようと思ったわけです。いろいろなマイクロフォンで自身のヴォーカルを録った時、どんな変化が生じるだろうかと。それが「マイクロフォンの話」シリーズを始めるきっかけです。

結論を先に言えば、私のヴォーカルの性質にも関係あるのですが、どのマイクロフォンでもやろうと思えば臨機応変にレコーディング&ミキシングできることが分かりました。コンデンサー型の代わりにダイナミック型で対応できるかについても、特に問題ないことが分かりました。

それはまず、音色を作る要素としてのマイクロフォンは一要素に過ぎず、ケーブルやプリアンプ、コンプレッサー、EQ、ディエッサーなどの組み合わせで音色が作られるため、その組み合わせのユニットでうまく対応できれば、マイクロフォンの選択は絶対的なものではないわけです。尤もそれ以前に、ヴォーカルが確固たる存在感を持ち合わせていれば音色など大した問題ではなくなります。要は、マイクロフォンに頼りすぎるな、ということです。

かつての名パートナーRODE NT1初期型
ここからは個人的な思い入れの話。

所有するマイクロフォンのうち、どこへでも持ち歩いて使用したいと思うのは、TELEFUNKEN M81のダイナミック型。ありとあらゆるコンディションに耐え、静かな曲から激しい曲まで、ヴォーカルの多様なニュアンスをとらえてくれる有能なマイクロフォンであり、全幅の信頼をおいています。

そしてもう1本、RODE NT1初期型。コンデンサー型マイクロフォン。
20代の頃、貧弱なレコーディング・システムでヴォーカル録りをしていた忘れがたいアイテム。今となっては使うことはほとんどないのだけれども、どれほどこのマイクロフォンで入魂の特訓をしたか――。当時はこの1本に泣きつき、すがりついていたわけです。

どのマイクロフォンにも甲乙付けがたい個性があり、私はそれらをとても愛しています。長くこれらのマイクロフォンと付き合っていくことになるでしょう。

2015/05/21

「Old Barber」でのオーソドックスな試み

OP-1を使ったサウンド・インスタレーション第2弾「Old Barber」をアップしています。

Utaro流サウンド・インスタレーション・ルール
①OP-1のみで曲を作る。
②それをPro Toolsにぶち込んで録音する。
③Pro Tools上でOP-1の音源をダビングするのはOK。OP-1以外はダメ。
④曲の色気を出すのはPro Toolsの仕事。

このルールを遵守した「Old Barber」もラジオ向けジングルとなっています。
レコーディングからマスタリングに至るまで、ほぼ第1弾曲「Red Beans」のそれを踏襲しているので、当ブログ「OP-1を使ったインスタレーション」を参考にして下さい。

“888”のセレクト、テープ・ディレイのつまみを上げている
ただし、インサートしたJ37 Tapeプラグインでは、テープ・ディレイ(SLAP)を使いました。オープンデッキを使ったことがある人は、オープンデッキの機構上、このテープ・ディレイは理解できると思うのですが、もし仮に実機でこれをやるとしたら、この作業だけでそれなりの手間と時間が取られることでしょう。プラグインというバーチャルでは、複数のパートにこうしたテープ・ディレイをいとも簡単にかけられますが、実機でそれをやれと言われたら、エンジニアはそれなりにつらい作業に追い込まれるわけです。

J37 Tapeにおけるテープ規格のセレクトは非常に重宝していますが、「Old Barber」では“888”“811”“815”のどれを選択すべきか、何度も違いを聴き比べた上でセレクトしています。テープ・スピードは15ips(38cm/sec)です。ちなみに、「Red Beans」は“811”でした。

結果的に「Old Barber」は“888”を選びました。
OP-1のサウンドというのは、小型シンセのイメージとはやや差があって、ボトムが濃厚。そして高域は10kHzあたりで加工していると考えていいのですが、やはりこれは24bit/96kHzだから。8bit系のサンプルもありますが、必ずしもシャカシャカとはしていません。

J37 Tapeのテープ規格で試しに“815”を選ぶと、えらくボトムが強くなって耳に痛い。最もモダンな“888”ではそれが落ち着き、レンジも広く感じます。それぞれ倍音特性が違うテープの種類を選択できるというのは、J37 Tapeプラグインの面白い特徴だと思います。

とかく人間は視覚による影響を受けやすく、OP-1に対する視覚的なイメージによって、オモチャのようなサウンドを連想しがちですが、必ずしもそうじゃない。まずは出音を耳でしっかりとらえる。その上で、どのような処理をすべきか考える。どうでもいい情報を排除して、シンプルに直接、音と向き合う姿勢が大事となります。

2015/05/14

JD-Xiそれはコンポーズのためのシンセ

Roland JD-Xi
個人的にこれまでソフトウェア・シンセ&サンプラー一辺倒的な様相だったのが、ここにきてそれが良い意味で崩れ出しました。

Roland JD-Xi。
INTERACTIVE ANALOG/DIGITAL CROSSOVER SYNTHESIZER。

何気ない普通のシンセです。ですが、そんなに普通じゃないんです。
簡単に言えば、デジタルとアナログの2つのシンセ・エンジンを搭載しているのです。ということは、外装を外して中のボードを見れば、そこにデジタルとアナログの両方のシンセサイザー回路があるわけです。これってけっこう奇怪だと思う。開けませんけれど。

37ミニ鍵盤タイプで60センチ弱の幅に収めたこのJD-Xiは、“何気なく”作曲するのに手頃なシンセです。
Rolandシンセでは、上位機種のJD-XAやFAシリーズ、JUPITERシリーズとかありますが、もちろんそれらはそれらで活用的なメリットがあるのですが、そうなってくるとライヴ以外の制作実務においては、私にとってソフトウェア・シンセの方が使い勝手がいいかな、となってしまいます。

JD-Xiはその大きさから容易に、スタジオを離れて持ち運びでき、スタッフと打ち合わせを兼ねて音を確認しながらコンポーズすることができる。これがJD-Xiの最大のメリットだと思います(サウンド的には上位機種より若干劣るのかも知れませんが、かえってそれが格好いいサウンドになることも)。

何気に言いますが、JD-Xiにはボコーダーとオート・ピッチ機能が搭載されていて、マイク入力を使ったそれっぽいサウンドも出せます。

パート数の割り振りは、デジタル・シンセ2、ドラム1、アナログ・シンセ1の計4パートとなっていて、それぞれ豊富な音色が作り出せることは言うまでもありません。このあたり、かなりKORGシンセを意識しているなと。

それから、忘れずに書いておきますが、アナログ・シンセのオシレーター、かなりぶっといです。搭載しているデジタル・シンセとはまったくサウンドが異なります。
その点、この4パートでサウンドのバランスが取りづらいのですが、ここぞというパートはアナログ・シンセのトーンでかます、というコンポーズができるので、きちんとそれぞれのパートを個別にアウトし、外部のミキサーやDAWで調整すればいいだけの話です。

先月、当ブログの「リズム・セクションの構築」でKORG electribeについて書きましたが、それとまったく同様。このJD-Xiを組み入れることで、作曲のスタンスが変わり、非常にクリエイティブな様相になります。

2015/05/13

「Figure 2.0」のミキシング

60秒ヴォーカル曲「Figure 2.0」を公開しています。

レコーディングからミキシングまでについて解説します。
前回説明した通り、この曲のピアノはモデリング・ソフトウェア音源「MODARTT Pianoteq 5 Pro」の“D4”(Steinway D)を使用し、ピアノの中域がフラットに聴こえるよう、擬似マイクロフォンとしてC414 omni(AKG C-414の全指向性)を設定して、Pro Toolsで録りました。

このバッキングに合わせるべく、ヴォーカルはどのような音色にすべきか悩んだのですが、かなりエフェクティヴな形にしようということで、これまた音色的には中域がフラットに近くなるよう、コンデンサー型マイクロフォンのLEWITT LCT 550を使用しました。

こうして前ヴァージョンと2.0を比較して聴いてみると、前者は音色的に柔らかくクラシックな趣があり、後者は明るめでポップな感じになっていて、同じピアノとヴォーカルであるのに、音色の違いによって印象が変わるので非常に面白いです。
こういったことをレコーディングの段階までに済ませておくと、後処理がとてもしやすくなります。

Waves Reel ADTプラグイン
ミキシングでは、ピアノに対してはJ37 Tape→SLATE DIGITAL VBC FG-MU(コンプ)→API 550B(EQ)のプラグイン処理を施し、ヴォーカルに対してはWaves Reel ADT→SLATE DIGITAL FG-401(コンプ)→FG-N(EQ)で処理しています。

Reel ADTは、ビートルズが使用したレトロなテクニカルということでもう有名ですが、「アーティフィシャル・ダブル・トラッキング」と言い、2台のテープ・レコーダーを使ってキャプスタン・モーターの速度を微妙に変化させながらミックスするフランジング効果のようなものです。

ヴォーカルの処理におけるSLATE DIGITAL FG-401→FG-Nは最近好んで使用していて、レコーディング段階までに音色が整っている場合に対しては、シンプルな処理で済みます。FG-NはまさにNEVE 1073を模しており、嬉しいことに中域が2バンド仕様になっているのです。

SLATE DIGITAL FG-401+FG-N
仮に音色が前段階で整っていない場合は、別のEQなどを挿さない限りFG-Nだけでは不便になってしまい、FG-Nは使えないよなーという若気の至り的な誤った批評をしてしまうことになります。
ですがFG-Nはなんとも言えないNEVEの香りのする素晴らしいEQなので、やはりマイクロフォンの選択や録りの段階でのEQ処理などでしっかり音色を決めておく必要があります。

ちなみにこのピアノとヴォーカルにうっすらとかかっているリバーブは、Sonnox OXFORD REVERBの「48 Large Chamber」プリセットです。これは前ヴァージョンと同じです。
80年代全盛の、ビデオデッキよりも大きかったLexicon 480Lですが、これを模した「48 Large Chamber」は、やはり代えがたい特性があって使う頻度が高いです。リバーブもまた種類を変えるとその曲の印象もがらりと変わってしまうので、非常に気を遣うエフェクターなのです。

2015/05/08

舞踏のための音楽プロジェクト


これはもう何度も書いてきたことですが、私自身の中で、東日本大震災の経験が音楽ととても深い関係にあります。
あの大震災の強い地震によって自宅スタジオの機材が吹っ飛び、それを再び元のように構築しなければならない状況に陥った時、私の中で音楽的な何かがすべて消えて無くなったように感じたのです。

それを取り戻すにはひどく時間がかかりました。機材は元に戻っても、心の中の音楽的はものは消えたままで、メロディやリズムはちっとも弾んでいないのです。

そもそもこの[Dodidn*]のUtaroソロ・プロジェクトは、そこから始まっています。立ち上げたばかりの2012年当初は、“電子音楽”というキーワードから音の集合を意識して、実験的な試みで即興演奏を繰り返しました。今では信じられないことだけれども、その頃の私のヴォーカルはまだ生声で、きちんとしたメロディーになっておらず、いまだ震災の傷を引き摺っているかのようでした。

さて、“電子音楽”という古めかしいキーワードは、私の中で特に、黛敏郎氏の「素数の比系列による正弦波の音楽」をイメージします。NHKの旧電子音楽スタジオで制作された実験音楽です。

私も20代の頃にそういう感じの実験をやってみようと、自然環境音や声のノイズを演劇の演出に取り入れようとしましたが、これは挫折してしまいました(Utaro Notesブログ「電子音楽と小劇団」参照)。

舞台演劇、それも原始的な身体表現としてのミニマムなダンスに、いかに音楽は存在しうるか。その音楽表現からいかに身体表現は変化し拡張するのか。
「舞踏のための音楽プロジェクト」のテーマはそこです。先に述べた“電子音楽”というキーワードがヒントになることは言うまでもありません。

ともかくまずは、このプロジェクトが現時点で進行していることをご報告いたします。

2015/04/16

「Figure 2.0」塑像から完成形をめざす

先月より開始した「Figure 2.0」のリプロダクトを進めています(当ブログ「リプロダクト―『Figure 2.0』」参照)。

ノートへ記譜されていた簡単なピアノ譜をもとに、Steinberg Cubase Pro 8にそれを打ち込みました。手弾きです。
一昨年前にPro Toolsで即興的に弾いた時は、ある種の勢いというものがあって、全体の流れが良くも悪くも感覚に寄りかかっていました。
今回は半分冷静沈着に、全体のテンポはいかほどか? ここのテヌートは? ここのフェルマータはどれほど伸ばす? ということを考え、しかもどこでヴォーカルのメロディが入るのか分かっているのですから、あの時よりはやや伴奏的になるわけです。とは言え、私はピアニストではないので、Cubaseというテーブルあればこその戦略であり、演奏家としてのそれではないことを付け加えておきます。

ピアノのモデリング・ソフトウェア音源「MODARTT Pianoteq 5 Pro」は、もう私にとって最も稼働率の高い有力なソフトウェアです。今度の「Figure 2.0」のピアノはどれを選択すべきか、しばし悩みました。結局は“D4 Classical BA”を選択しました。

もちろんここでの選択は、あくまでCubaseでのプログラミングのための選択なのですが、レコーディング時に音源を差し替えるつもりはないので、ここでの選択が最終判断となっています。また、ペダルでの音色の変化も今回は考慮しました。

MODARTTのホームページによるとD4は、ハンブルクからSteinway Dグランドピアノを取り寄せ云々とあり、そのキャラクターがモデリングされたそうです(ちなみに本物のD-274の価格は2千万円以上です)。
私がD4を選ぶ理由を挙げるならば、どことなく“器械的”だからです。器械の音がすると――。その器械的な硬さと反響の柔らかさが絶妙で、モデリング上、ハンマーで叩かれる際の音の強弱が複雑なニュアンスを引き出してくれるのです。

CubaseにMIDI記録された「Figure 2.0」
弾こうとするテンポとCubaseのメトロノームをある程度合致させ、CubaseをRecにして走らせます。そして鍵盤で演奏します。演奏した通りのベロシティも記録されます。修整の際、ノートのタイミングやベロシティを調整するのですが、あまり酷い場合はもちろん演奏をやり直します。

Pianoteq 5 Proでは音源のアウトプットの設定で、擬似空間に設置する数種類の擬似マイクロフォンを選ぶことができます。デフォルトではU87になっていましたが、今回はC414 omni(AKG C-414の全指向性)に切り替え、中域が比較的フラットに聴こえるよう考慮しました。ずばりそれはヴォーカルの中域成分とぶつからないようにするためです。
ピアノの音像を少しワイドにすれば、ピアノの中域の出っ張りはヴォーカルにさほど影響を与えませんが、全体の音像のバランスがそれによって崩れることもあります。曲調にもよりますが、ピアノの音像がセンターに近い場合、つまりあまりワイドにしない場合、そのままでは中域成分がぶつかってしまうので何らかの後処理が必要になるでしょう。
(擬似)マイクロフォンの特性を活用して事前に音源のアウトプットを調節しておけば、この問題は解決します。今回はヴォーカルが入ることを事前に分かっているため、こういう調整をしたのです。

一昨年前にレコーディングし、昨年制作した「Figure」のピアノは直接Pro Toolsで録りました。今回の「Figure 2.0」は改めて自分がこの曲を理解するため、このように敢えてCubaseで作業しました。後日Pro Toolsでレコーディングします。

2015/04/14

「Summer Girl Fashion」的サウンド

インスト未完曲「Summer Girl Fashion」のレコーディング&ミキシングについて解説したいと思います。

他の稿で何度となく書き記している通り、この曲で使用したシーケンサー、YAMAHA QY-700は今となっては旧態とした打ち込み機材ではあります。プロの方でもいまだに使用し続けている人がいるという話を聞いたりすると、正直驚きの念を隠せない部分があるのですが、打ちづらくちまちまとした面が逆にアレンジに生かされて、そうしたスタイル特有の楽曲を作り出しているのではないか、と思ったりもします。
昨今の日本のコマーシャル・ミュージックの傾向を鑑みると、和声の荘厳さよりリズムの軽快感を重要視している、それが流行りなのではないかということが感じられ、そうなるとQY-700のような旧態シーケンサーの方が生きてくるのではないでしょうか。

さて、最終的に仕上げた「Summer Girl Fashion」のサウンドというのは、かつて私がQY-700を現役機材として使っていた頃のサウンドとはまったく別物、と思っています。
昔は所有していた機材がしょぼく、コンプレッサーやEQを自在に扱うことが不可能で、もっとナローなサウンドでした。

今回、BELDEN 8410ケーブルを使用してQY-700からのOUTPUT 2chをPro Toolsで取り込み、ミキシングでいくつかのプラグインをかましています。インサート順列としては、J37 Tape→SLATE DIGITALのVBC FG-MU→API 550Bで、クリアだったデジタル・サウンドがこれらを通って一気にアナログ・サウンドに変化しました。

VBC FG-MUコンプレッサー
VBC FG-MUは、Fairchild 670とMANLEY VARIABLE MUを模したチューブタイプのヴィンテージ・コンプレッサーで、チューブ独特のサウンドが得られます。
ただ、QY-700のドラムセットのハイハットやタムがそもそもハードにコンプレッションされたようなサウンドになっているため、かけすぎるとこれらのパートが目立ち、コントラストが強くなってしまいます。そのため、後段のAPI 550Bでは、100Hzあたりの低域を持ち上げつつ10kHzあたりの高域を抑えています。

往年のテープ・レコーダーを模したMAGNETIC II
マスター・トラックにインサートしたプラグインは2つ。NOMAD FACTORYのMAGNETIC II→WavesのSSL 4000Eチャンネル・ストリップ。ここではSTUDER A820プリセットでその磁気テープ感を醸し出した後、SSL 4000EのEQで超高域と超低域を少し削り、カマボコ型に。
ちなみに、A820は私が卒業した千代田学園のスタジオで使用していたマスター・レコーダーであり、その時のサウンドは当時のメモリアルCDによって参照できる個人的なリファレンス・サウンドとなっています。A820サウンドは言わば私にとってスタンダードなアナログ・サウンドなのです。

実際今回、QY-700の音源をPro Toolsに取り込んでみて、しょぼくなると思っていたサウンドが意外にも、ケーブルやらプラグインやらの処理でけっこう聴けるサウンドになったことはびっくりしました。以前にもQY-700サウンドの実験をしました(ホームページの「実験コーナー/QY-700の音を探る簡易レコーディングテスト」)が、その時は当時のサウンドを再現していたので、今回のように的確な処理を施した場合のサウンドは初めて聴いたのです。

QY-700は打ちづらく制作しづらい、という面があるにせよ、サウンド的にはけっこういい音してるなということが分かり、懐かしさ以上に新鮮な発見をしたように思います。