2016/06/28

「rain rain rain―雨の記憶」のミキシング

air MULTI-DELAYエフェクト
「SC-88Pro ハチプロで創る。」プロジェクトで制作したオリジナル曲「rain rain rain―雨の記憶」のミキシングについて。

この曲のイントロのアコギのフレーズ、左右に飛び交うディレイ・エフェクトがかかっているのは、ハチプロ(Roland SC-88Pro)のインサーション・エフェクト“Stereo Delay”(+原音)とPro ToolsのミキシングでAUX送りした“MULTI -DELAY”エフェクトのプリセット、“Percussive Delay”との複合によるもので、これに多少のリバーブ(Lexiconのプレート)をかけてできたものです。

これを聴いて思い出したことがあります。昔、YAMAHAのシーケンサーQY-700で山下達郎さんのカヴァー曲をプログラミングした時に、アコギの16分音符が続くフレーズにところどころブラッシング・ミュート(ゴースト・ノート)をひとつひとつ打ち込むのにたいへん苦労して、デュレーションの付け方で変化を加えるのにとても時間を要したことがあります。そしてそうやって人工的にプログラミングしても結局、音楽的にリズムとうまく馴染まない、というような経験がありました。

air CHORUS
ハチプロでアコギにディレイをかけた状態で鳴らし、コード・プログレッションとシンコペーションを同時に作曲するという手法。まさに「rain rain rain―雨の記憶」の作曲はそこから始まったわけです。ブラッシング・ミュートをちまちまと時間をかけて打ち込むより、どれほど容易で音楽的か。

この曲のヴォーカルは、実は3つのトラックに分けて録られたもので、それぞれかけられたエフェクトが異なっています。“意味不明なスキャット”を歌っているヴォーカルにかかっているのは、“CHORUS”のプリセットの“Slow Stereo”で、先述した“MULTI DELAY”エフェクトのプリセット、“Percussive Delay”とLexiconのリバーブも少しかかっています。Lexiconのプレート・リバーブではプリ・ディレイ値もエディットされているため、リバーブ自体もディレイがかかっているわけです。

このように、主要なパートをディレイ尽くしすることによって、雨の連続性やリズム感を演出し、音の無限性についても感じられるかと思います。

Lexicon PCM Native Plate
しかし、この曲のミキシングで一番重要だったのは、アコギのアタックを残すことと、それぞれのパートの低域の処理。
まず曲の始め雨の実録音(SE)にはコンプレッションで上がってしまった低音が多く含まれていたのでこれをカットし、ヴォーカルその他のパートの80Hz以下についてもそれぞれ適切な量をカットしています。
ただし、バスドラの音は重たい低域感が欲しかったので、低域はいじりませんでした。ハチプロの音源は意外なほど周波数レンジが広く気持ちの良い音で、そのためクリアでありながら幾分かの柔らかさを持ち合わせています。当然、削ればシャープにもなり、非常に臨機応変に処理がしやすい音源なのです。

何度も言うように、「SC-88Pro ハチプロで創る。」プロジェクトは当初、SC-88Proを使うということの単なる実験のつもりでした。が、ハチプロの使いやすさと音の魅力の影響を受け、知らず知らず作曲に没入していって純粋な創作作業になっていってしまいました。
逆に言えば、作曲に没入できる音源というのは、とても大事なことだと思います。そういう音源と今回巡り合うことができ、なおかつ今後も継続して使っていくと思うので、よりいっそう新しい発見の機会があるかも知れません。

2016/06/19

「明日の燈を」のオケ大修正

Cubaseのテンポトラックエディターでテンポを修正
当ブログ「『明日の燈を』オケのレコーディング」でお伝えした、レコーディング済みのオケでヴォーカル録りを行おうと、先日、Pro Toolsでオケを走らせたところ、まったくヴォーカルがリズムに乗らない、間違ったテンポであることに気づき、急遽ヴォーカル録りを中止しました。
そしてそのオケの修正作業のため、再びCubaseのプロジェクト・ファイルを開き、結果的には大がかりな修正を施しました。

何故このようなことが起きたかというと、完成したオケでのヴォーカルのリハーサルを、なおざりにしてしまったからです。あまりにもこの曲と向き合う機会が多かったことがかえってわざわいして、この曲を知り尽くしていると思い込んでいたのだと思います。

そもそも当時の1999年オリジナル・ヴァージョンをプログラミングしたYAMAHA QY-70には、“グルーブテンプレート機能”というのがあって、プログラミングした曲を再生しながら、セレクトしたテンプレートでグルーヴを変えることができました。「明日の燈を」のオケはグルーブテンプレート機能で微妙なノリを作り出していた節があります。

したがって今回のリアレンジの作業では、同様のノリを再現する必要があったわけですが、ヴォーカルのリハーサルが不十分であったため、相応しくないノリの状態のオケのまま、レコーディングしてしまったのです。

救世主となったハチプロ音源
修正作業では、厳密なノリ(=groove)を再現するため、オケの肝となるパートをQY-70と限りなく近い音色、つまりスタンダードMIDIの音色に差し替えました。ハチプロ音源(SC-88Pro)を使ったのです。
QY-70とほぼ同等のQY-700の音源では、ヌケが悪くピンとこなかったのですが、ハチプロの音源を使うとこれが見事に解決できました。4パートほど、ハチプロ音源に差し替えました。

テンポは、Cubaseのテンポトラックエディターで修正し、ヴォーカルとオケが一体となるよう、部分的に1小節のみわずかに遅くしたり、2拍分だけテンポを変えたりと、普通に聴いただけでは気づかない程度に変化を付けました。テンポが遅くなるアウトロにかけての数小節に関しては、今回の修正点はなく、テンポが遅くなるタイミングはそのままの状態となりました。

次回、この修正されたMIDIファイルを使って、もう一度オケのレコーディングをおこない、ヴォーカル録りも済ませるつもりです。

2016/06/07

実験色から純粋な創作へ

「SC-88Pro ハチプロで創る。」プロジェクト。オリジナル曲「rain rain rain―雨の記憶」のレコーディングについて。

私がまだ20代だった1996年当時、Rolandから発売されたSOUND Canvas SC-88Pro(=ハチプロ)は定価89,800円と高価で、高嶺の花でした。シーケンサー主導で制作していた当時としては、外部の音源モジュールがどうしても欲しくなる衝動を抱えており、同じ頃にKORGからNS5R(64音ポリ/32パート、12MBサウンド・メモリー)が発売されましたがこれもまた69,800円と高価で手が出せず、4年後にようやくKORG NX5Rを購入することができました。が、KORG独特の音源性と当時の自身の音楽性とが噛み合わず、かなりブルーな気分になって創作意欲が減退…という経験をしました。

今更になってようやく、ハチプロの音に出会うと、当時これを最初から持っていたらと思ったりします。スタンダードなアコースティック系楽器、電子楽器、シンセの音色を含めた1117のプリセット音色と42のドラム音色の膨大な音のカタログは、作曲の段階で創造を刺戟し、さらにエフェクト処理による音像の変幻によって着想が次なる着想を生み、音楽に携わることの至福を感じたに違いありません。これは昨今の特化したソフトウェア音源をいくら組み合わしても体験できない感覚だと思います。

当初、実験をするつもりで始めた「SC-88Pro ハチプロで創る。」プロジェクトは、「rain rain rain―雨の記憶」を作り上げる過程で、少し意味合いが変わりました。もともとシーケンサー+外部音源モジュールというスタイル(というかシステム)で制作していた私にとって、ハチプロという音源モジュールはとても馴染みやすいし、作曲からアレンジしていく過程でのこのスタイルがある意味、完全無欠のように思えてくるのです。

もちろんこのプロジェクトではハチプロ以外の音源は使用しないというルールですが、私の今後のスタイルの定番は、どうやらCubase+ハチプロ(VSTプラグイン)となって、これにプラスアルファとしてその他のソフトウェア音源、あるいは外部のシンセサイザーという形になるのではないかと思います。

ヴォーカルの数テイクのオーディオ・クリップ
さて、「rain rain rain―雨の記憶」のレコーディング。打ち込みの段階からもはや実験的な気持ちから解放され、純粋に曲の創作に没頭してしまったのですが、“雨”をテーマにした曲ということで、事前にハンディ・レコーダーZOOM H2nを使って実際に屋外の雨の音を録り、それをギターのイントロの前にインサートしました。

ヴォーカル録りでは、マイクロフォンLEWITT LCT 550を使用し、薄めのコンプをかけています。最初のテイクで即興的にヴォーカルを入れ、どこでどう歌うべきかを把握した後、2テイク目から“歌詞のない”スキャットを吹き込んでいきました。

打ち込みからレコーディングまで、ハチプロをシステムに組み込んだおかげで、本当に気持ちの良い創作ができ、これが実験曲であること自体、いい意味で吹っ飛んでしまった、というわけなのです。

2016/05/25

ハチプロ・プロジェクト始動

オリジナル曲「rain rain rain―雨の記憶」打ち込み画面
「SC-88Pro ハチプロで創る。」プロジェクト。マルチ・ティンバー音源の名機Roland SOUND Canvas SC-88Proのみの音源で曲作りをするというプロジェクト。

SC-88Pro、“ハチプロ”と聞いて多くの人が思い浮かべるのがレイ・ハラカミさんではないかと思うのですが([Utaro Notes]ブログ「レイ・ハラカミと作る音楽の思考」参照)、このプロジェクトの初っぱなではまず、ハラカミさんがハチプロ音源でどうアプローチしたかを理解したいと思い、少し“それらしい”曲を打ち込んでみました。さすがにピッチ・ベンドを多用すると、もろハラカミさんの曲を真似ることになってしまうのでそれは避けることにし、ハラカミさんが一つの手法としていた、ディレイを使って浮遊感を出す――というアプローチを追体験してみることにしました。

曲名は「rain rain rain―雨の記憶」(Utaro作詞・作曲)。アコギのコード・プログレッションにハチプロのインサーション・エフェクト“Stereo Delay”がかかったイントロ。
打ち込んでからディレイをかけるのではなく、あらかじめディレイをかけておいて打ち込みました。

ハチプロ実機に使われたCANAREケーブル
ハラカミさんも「ディレイありき」だったそうです。ちなみに彼は、システム・エフェクトの“Pan Delay 1”をよく使っていたらしく、ハチプロのディレイ音に対して「ヌケがすごく良い」というようなことを言っていたようです。ハチプロのエフェクトの構造は、おおまかに2タイプあって、一つは個別のパートに挿入するインサーション・エフェクト(64種類)、もう一つがセンドの数値で送り込むことのできるシステム・エフェクト(リバーブ系8種、コーラス系8種、ディレイ系10種)があって、インサーション・エフェクトをかけつつ、システム・エフェクトにセンドすることもできます。“Pan Delay 1”はこのシステム・エフェクト内のディレイに当たります(“Pan Delay”は1~4の計4種類)。また、2バンドのイコライザーもあって、パート別にON/OFFすることができます。イコライザーのパラメーターはLowが200と400Hz、Highが3kHzと6kHzとなっています。

さて、「rain rain rain―雨の記憶」の打ち込み作業はいつもどおりCubase Pro 8で、この段階ではVSTのSOUND Canvas VAを使って計5パートを打ち込みました。SOUND Canvas VAはとても使い勝手が良く、当然ながら実機よりも素早い音色切り替えやエフェクト設定ができます。
アコギのパートに挿入した“Stereo Delay”ですが、やはりヌケが良く、気持ちいい掛かり方になります。フィードバックのモードはCrossで、左が360msecで右が500msecという数値にしました。この左右の数値によって独特のリズムが生まれ、ここから算出してテンポを確定しました。まさに「ディレイありき」のやり方です。

Pro Toolsで録られたハチプロ実機音源の各パート
Pro Toolsでのレコーディングでは、プロジェクトのルール通り、実機の音源を使いました。2年前に購入して以来、ハチプロの実機には、古い安物のケーブルをつないでいましたが、今回2本のケーブルを買い換え、CANAREのQC01をアナログ・ミキサーMackie 1604-VLZ3に送りました。ハチプロのアウトはRCAなので、ケーブルはRCA/フォン仕様となります。
Pro Toolsへの入力時にはコンプを薄めにかけ録りしましたが、各パートのSOUND Canvas VA上の設定を実機で完全に再現した上で録っているので、アコギのディレイの掛かり方などもほぼ同等だと思われます。VSTの音源ではやや透明感がありましたが、実機からアナログ・ミキサーへ、そしてデジタルI/Oでコンプをかけ録りした段階での質感は、ヌケの良さはそのままで、やはり少し芯が太くなった音となり、これもほぼ予想通りでした。

このように、プロジェクトの最初の実験段階を終えたのですが、いわゆるVSTでの打ち込み作業、それからレコーディングでの実機を使ったアウトプットの録り、という作業のいずれもうまくいきました。この段階までに感じた、個人的な感想をいくつか述べたいと思っていましたが、それは次回に譲ることにします。

2016/05/17

ハチプロをメインディッシュに

SOUND Canvas VAプラグイン
90年代後半、私にとって憧れのマルチ・ティンバー音源だったRoland SOUND Canvas SC-88Pro(1996年発売)。単純に高価だったせいもあり、手が届かなかった音源でした。
この憧れの実機を入手したのは2年ほど前で、今まで何の活躍もなくストックのまま眠った状態でした(当ブログ「SC-88Pro音源のストック」参照)。
昨今ではDAWでいくつもの音源ソフトウェアを扱うことに慣れてしまい、DAWを取り巻くPC上の環境が、どんどん膨張していくことに違和感というか危機感を抱いたりもしています。また一方で、これだけ複数の音源ソフトウェアを扱っていながら、ここで使いたいと思うスタンダードな楽器音色(例えばギロだったりアゴゴだったりアコーディオンだったり、あるいはエレキ・ベースだったり)が、実はほとんど足りてなかったりして、あれ?と思うことがありました。

Roland SOUND Canvas SC-88Pro(通称“ハチプロ”)はそうしたスタンダードな楽器音源をほぼ完璧に網羅していると言え、これが自在に使えたらいいのに、と2年前に入手したわけですが、やはり今頃の音源ソフトウェアの使い勝手と比べると、デモ段階から使うのには、ガクンと制作効率が落ちてしまうデメリットがありました。
ところが昨今、Rolandさんの大英断によってiOSプラグインが発売されたり、SOUND Canvas VAというVSTi & AUプラグインが発売されたりする流れを見ると、プラグインを併用すれば、そのデメリットの部分が解消されるではないかということに気づいたわけです。

所有するSC-88Pro実機
そこでちょっと実験的に、ハチプロ音源のみの曲作りを試してみたくなりました。CubaseでのプログラミングではSOUND Canvas VAプラグインを用いて曲作りをおこない、Pro Toolsでのレコーディングでは実機の音源を用いる、というやり方。もともと私は90年代にこうした一体のマルチ・ティンバー音源のみで曲作りすることに慣れているので、その原点に帰るという意味もあり、また憧れのハチプロのみで一体どんなサウンドになるのか、非常にワクワクする気持ちになります。

題して、「SC-88Pro ハチプロで創る。」プロジェクト。

[Dodidn*]ホームページにページを立ち上げましたので、今後、字数を増やしていくつもりです。もちろんそのデモ曲もアップしていく予定です。このプロジェクトの肝は、ハチプロ音源のみ! ということで、ご期待下さい。

2016/05/11

「明日の燈を」オケのレコーディング

前回お伝えした通り、新しいヴァージョンの「明日の燈を」の制作。現時点でオケのレコーディングを終了しています。

Cubaseでの打ち込み作業が完了して、全パートのMIDIデータをファイルに書き出し。それから、全パートの音源の詳細(どのソフトウェアのどのプリセット音色を使い、どんな設定にしたか)を紙に記録して、それを作業用の資料とし、Pro Toolsでのオケのレコーディングの際にはそれを見ながら、各パートの音源を再現していきます。もちろんPro Toolsの新規のプロジェクトを立ち上げた際に、書き出ししておいたMIDIファイルを読み込むところから始めます。
音源を紙に書いて記録するというのは、面倒くさい作業のように思えますが、後々の様々なトラブルが起こった時に、こうした紙の記録がどれほど役に立つか、PC上のファイルが仮に消滅したとしても、紙の記録があればその分の復元ができます。Pro Toolsで各パートのレコーディングを終えた段階でも私は、そのレコーディングしたデータを“レコーディング・シート”として紙に記録します。これもまったく同様の理由です。私はずっとアナログのテープ時代から紙の記録を重要と位置づけています(これまで、どれほど紙の記録に助けられたか数えきれません)。

Pro Toolsで録られたオーディオ・クリップ
今回のレコーディングの作業自体はこれまで通り、とてもシンプルです。録音のフォーマットは32bit浮動小数点/96kHz。各パート(オケは全17パート)のソフトウェア音源は、一旦アナログ出しして16chアナログ・ミキサーMackie 1604-VLZ3を経由。こうして一旦、アナログを経由して音をまろやかにしておいてI/Oで戻します。この音をPro Toolsでオーディオ化します。この際、音源にかかっているリバーブはOFFにして録ります。

ところが今回、何故か私はこの作業でコンプの掛け録りをするのを完全に忘れていました。本来なら、Pro Toolsに戻して録る際にコンプを浅く掛けて録るのですが、この手段を完全に忘れていたのです。したがって、Pro Toolsで記録された各パートのオーディオ・クリップはノンエフェクトの状態になっています。今後、ミキシングの際に少し深めにコンプを掛ける必要があるかも知れません。

オケのすべてのパートのオーディオ・クリップが並んだ状態で、仮のパンニングとフェーダー調節をしておいて、次回のヴォーカル録りに備えます。全体では当然リバーブがかかっていないので、Cubaseで作業を終えた段階のデモと比較すると、余韻のないゲンナリした違いはあるのですが、音源の音の出方としてはほぼCubase上と同等であることを確認してレコーディングの作業を終えました。

2016/04/27

「明日の燈を」ニュー・レコーディングのご報告

私にとって曰く付きのオリジナル曲が、「明日の燈を」です。1998年に作詞・作曲して以来、翌年に完成→ノイズが多く失敗。2010年に再録→これも失敗。そして4年前の2012年にも再録、という経緯ですが、実はこの2012年のヴァージョンもひどい出来。
むしろ過去の再録の中で最もひどい出来だったのではないかというのが、2012年ヴァージョンです。少なくとも私自身はそう認識しています。

1999年オリジナル・ヴァージョンについては、ホームページのコラム「『明日の燈を』について」で触れています。まずはそちらを読んでいただければと思います。そのうえで話を先に進めますと、そうした流れで再チャレンジしたはずの2012年ヴァージョンだったのに、出来が悪い…。結果的にはあまりにもオリジナルとかけ離れてしまった、という印象があり、非常に粗野な作りになっています。

この4年間、どこかでやり直したいなと思っていました。なかなかそのタイミングがやって来なかったのですが、今回、つまり2016年、もう一度「明日の燈を」をやり直すことにしたのです。

*

Cubase Pro 8で「明日の燈を」を手直し
まず、手始めとして、元々の1999年オリジナル・ヴァージョンの時のMIDIデータのファイルをもとに、YAMAHA QY-70の音色にほぼ近いQY-700で鳴らしてみました。もちろんQY-70とQY-700は同じYAMAHAのシーケンサーで兄弟のようなものですから、全体の印象はオリジナルに限りなく近いです。これでいけると一瞬思ったのですが、ただ、サウンドの質感が今一つ、ピンとこない。
それはYAMAHAのAWM2音源に由来する独特なサウンドにあり、複数のパートを同時演奏しても周波数特性的にあまりぶつからず、特にEQ処理しなくても全体が聴けてしまえる利点があるにせよ、言い換えれば不気味なほど中庸すぎるのです。
この中庸すぎるサウンドは、ちょっと面白みに欠け、これをやたらめっぽうEQでいじるくらいなら、他の音源を使った方がいい、という結論に至りました。

MIDIデータのファイルをCubase Pro 8で開いたところから制作がスタートしました。大まかなテンポの修整、各パートのオクターブの修整、ドラムキットのノートの修正。そうしてできるだけオリジナルに近い音色をそれぞれのパートに当てはめていき、さらに各パートのノートの加筆修整を行いました。その後、チェレスタなど新たなパートを追加。Cubase上で仮のパンニング及びレベルのミキシングをおこない、オリジナルのイメージを崩さず、かつ新しい形のサウンドを構成。

と、現時点ではここまで進行。
何故、「明日の燈を」という曲に自分がこれだけこだわり、しつこく追いかけているのか。それについてじっくり考えてみたのですが、どうもそれは、ある程度納得のいく形で曲を完成させるしか、答えが出ないように思うのです。自分がこの曲で何を表現したかったのか。それを発見していく作業となりそうです。