侘びの世界へ―Flower's Topology

EMI TG12345

アーサー・ロー氏と伝説のコンソール(写真集より)
アビイ・ロード・スタジオの輝かしい歴史を綴った写真集『Abbey Road: The Best Studio in the World』の中に、世界のミュージシャンのポテンシャルを引き出して已まなかった、伝説のコンソールが写っている写真があります。それはモノクロームの印象深い写真です。

1972年、BBCのTVドラマ「Dad's Army」の出演者Arthur Loweがリラックスして肘をついているコンソール――それがアビイ・ロード・スタジオの伝説の、「EMI TG12345」です。

私がまだPro Toolsを使い始めて間もない頃、何か良いEQプラグインはないだろうかと探し求め、出合ったのが「EMI TG12412」と「EMI TG12414」でした(当ブログ「Abbey Roadプラグインについて」参照)。録り終えた生々しいサウンドをこれらのプラグインに通すことによって、何か劇的な、研磨された音楽的なサウンドに変化した最初の驚きを憶えています。

先日、WAVES版の「EMI TG12345」をインストールし、早速テストしてみました。
これは先の2つのマスタリング用のEQ&フィルターとは違い、ミキサーのモジュールのチャンネル・ストリップ型になっているのですが、“それらしき”位相歪みが加わって、Pro Toolsの生々しいサウンドではなくなります。

DYNAMICSセクションのコンプとリミッターは、いわゆる現代的なそれとはまったく違い、“旧式の”と言いたくなるような、持ち上がり具合と叩かれ具合に特徴のあるサウンドに変化します。HOLDのつまみをうまく調節すれば、非常に味のあるコンプ効果になり、エレキギターやドラムなどのサウンドに使いたくなります。

EMI TG12345プラグイン
EQセクションのTREBLE、BASSに対してPRESENCEの中域は500Hzから10kHzまでの可変式となっており、「EMI TG12412」のスポット式ではありません。この「EMI TG12345」のEQは、実にもっともな、まっとうで音楽的なサウンドを作り出す生真面目なEQであり、どこかの安物プラグインEQの単なる“レトロ調”とはまったく違います。

さらに好みでDRIVEを持ち上げれば、いやらしいほど古臭い電子部品を通ったサウンド、とでも言いたい歪んだサウンドになり、原形をとどめません。私の好みでは、DRIVEの加減よりもNOISEの量を上げて、少しざらついたサウンドにする方が好きです。

当然ながら、この「EMI TG12345」を通ったサウンドに「J37 Tape」プラグインを用いれば、完璧なと思えるほどアビイ・ロード・スタジオのサウンドになる、というわけです。

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