侘びの世界へ―Flower's Topology

マラゲーニャの魔法

Cubaseで打ち込んだマラゲーニャの和声進行
「舞踏のための音楽プロジェクト」の制作。

数年前、平凡社の『世界大百科事典』を眺めていて偶然、スペインのマラガ地方に伝わるマラゲーニャ(Malagueña)という民謡・舞踊を知りました。そこにマラゲーニャの和声進行が記されてあったのです。

スペインと言えば私にとってシェリー酒!の一言に尽きてしまうくらい貧弱な知識しかありませんが、もちろん闘牛が世界的に有名です。それとは別に、2005年の名古屋での「愛・地球博」を訪れた際、スペイン館のパビリオンの、「セロシア」という陶器でできた六角形の格子窓の建築には驚かされました(ブログ[Utaro Notes]「愛・地球博―スペイン館とフランス館」参照)。

スペイン民謡と聞いて思い出すのが、ジョン・フォード監督の映画『駅馬車』(1939年)に出てくるヤキマという女性が歌うスペイン語の歌。エディット・ピアフのように小刻みに震えるブレスが印象的で、子供の頃、このヤキマが歌う民謡を真似して覚えたものです(ブログ[Utaro Notes]「STAGE COACH」参照)。

そうした個人的なスペインの思い入れを音楽的に表そうと、あるいはアルバムのコンセプトである《舞踏》に、ある種そうした民謡的な要素を加えてみようという意図で、先述したマラゲーニャの和声進行を借用してみようと思ったのです。

Pianoteq 5でタンク・ドラムを使用
曲のタイトルは「Málaga」としました。2分の3拍子、1分20秒ほどの小品です。
Cubaseによって打ち込まれたこの「Málaga」では、アコースティック・ギターの音色でマラゲーニャを弾き、ユニゾンでタンク・ドラムが付き添います。聴けば、いかにもスペイン民謡風なのですが、和声進行としては実に単純で、E→Am→G→F→Eの反復となり、これだけでスペイン民謡風になるとは、まるで魔法のようです。
これにアフリカ民族楽器のリズムを構成し、不穏なるシンセの音で雰囲気をやや暗めのトーンにして、《舞踏》のパフォーマンスに合うようにしました。しかもこれにささやかなるヴォーカルを加えるつもりです。

今回のアルバムにおける、“舞踏のための――”というコンセプトの大前提が、普段ではほとんど思いつかないような作風を引き出し、世界を大旅行する気分で曲作りを楽しんでいます。アルバムとしてはかなり面白い、トピックの多いダンスフルな内容になりそうです。

※追記 メロディを追加した時点で、それに合わせるかたちで調性を変更しました。

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