侘びの世界へ―Flower's Topology

進化と文明の水

【SoundBowでのドローイング】
「舞踏のための音楽プロジェクト」の大目標であったはずの、“アルバム”という括りが、この度外れてしまったことをまずお詫びいたします。
趣旨や中身はまったく変わらないのだけれど、制作期間が延び、その最終地点に到達しなければ個々の作品が発表できないことに疑問を感じるほど、むしろこのプロジェクトの深みにはまっている次第なのです。個人的にはとても面白い研究&実験プロジェクトです。“アルバム”という括りが外れた今、より多くの楽曲と向き合うことができています。

プロジェクトの大枠のテーマ、《舞台演劇、それも原始的な身体表現としてのミニマムなダンスに、いかに音楽は存在しうるか。その音楽表現からいかに身体表現は変化し拡張するのか》は変わりません。
また、《①仮想演劇=舞踏のモチーフを「人」「街」「踊り」に絞り、東京やパリ、ロンドン、モロッコの風景や物、人々、その喜怒哀楽などをモチーフにした舞踏をイメージ。②ダンス・ミュージックのようなものから幾何学的な即興音楽、シンプルなラヴ・ソングまでを盛り込んだ、文字通り舞踏のための》“作品集”になることも変わりません。

その大枠のテーマに最も近い、原始的な身体表現に通ずる、原始的な音楽とは何かを探るべく、実は昨年の11月、自己批判ショーの役者である紺野秀行さんに、ドラム&パーカッションの演奏をしていただき、それをソロで、複数のテイクにわたってデジタル・レコーディングしました。楽器はジャンベとケンケニです。
このうちの一つのテイクを、当初はアルバムのオープニングで使おうというところまでは決めていたのですが、具体的にどう処理するかまでは、決めかねていました(もちろん今年の初旬には、ある程度のアレンジはしていたのですが)。

【Output Movementでリズムを生成】
ところがようやく今頃になって、具体的な方向性が固まってきました。曲名は「Evolution and Civilization Water」といいます。
ホームページのコラム「SoundBowという抽象」で解説している、iOSアプリSoundBowの即興プレイがきっかけとなりました。正直私はこのアプリがとても使いづらくて、おそらくもう頻繁に使うことはないだろうと思っているのですが、なんとか我慢しながら即興を続け、いくつかのテイクを繋ぎ合わせたわけですが、それでも曲としての体裁に届いていないと不満に思いました。
そこで、そのSoundBowの繋ぎ合わせたテイクを、OutputのプラグインMovementにかけて新たなリズムを生成したところ、これが思わぬほど面白いリズムとなり、まるで太古の人類が創造した原始的なリズムのように感じたり、地球上の生物を大きく進化させる源となった水の存在の、その躍動的なウェーブのように感じられたりして、今プロジェクト作品集のオープニングを飾るに相応しいと思いました。

そう、このSoundBowによる原始的リズムから、紺野さんが演奏したリズムへと移行した時、まさに地球の歴史であるとか人類の歴史、すなわちそういう中で生まれた原初の音楽と向き合える格好の曲=「Evolution and Civilization Water」と成り得たのです。見方を変えれば、この曲はたいへんショッキングな曲となるかも知れません。どうかご期待下さい。

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