侘びの世界へ―Flower's Topology

Can You Hear? Bunny―舞踏プロジェクト終了

【「Can You Hear? Bunny」のオーディオ・クリップ】
2015年4月に始動してから1年と9ヵ月、「舞踏のための音楽プロジェクト」が2017年1月についに完結し、全13曲を公開して終了いたしました。皆様のご愛顧ありがとうございます。

大まかに掻い摘まめば、20代の頃の演劇における“ミュージック・コンクレート”への憧れ、昨今の国際的な舞踏の潮流、私が個人的に興味を抱いた身体パフォーマンス――2015年1月にニューヨークのPerformance Space 122でおこなわれた『RUDE WORLD』、2000年代におこなわれてきたドイツのアーティスト、サシャ・ヴァルツによる一連の公演――などの想起によって、《舞踏》と《音楽》との関わり合いを強く意識し、今プロジェクトを始めた次第。最初は漠然としていた《舞踏》というカテゴリーに対して、徐々にその本質的な部分が浸透し、《音楽》の曲としてなんとか精通し得たのではないかと思います。しかしこれもまた、100の理解のうちの1に過ぎないのではないでしょうか。

そんなことで予想以上に制作が長期的になり、実験を始めると次の実験が浮かび上がってきてその繰り返し、という事態で、反省すべき点は多々あります。「Evolution and Civilization Water」における紺野秀行さんのケンケニの演奏は、2015年の11月にレコーディングされていながら、SoundBowというアプリによって曲の構成が固まるまで、およそ10ヵ月経過していたり、下駄を使ったリズムの演奏がまるまるボツになったり、コンピューター上のトラブルで主要なプラグインが使えなくなる事故が発生したり、そういうたぐいになるとキリがありません。

【「Can You Hear? Bunny」ミキシング画面】
2016年の秋以降、第12曲目の「Can You Hear? Bunny」のあたりになると、もはや自分のやった仕事(演奏)の記憶が朦朧としてあまり憶えていないということも。この曲はOP-1で基礎的なリズムを構成していますが、そのあとRoland JD-Xiシンセでどんな上モノをダビングしていったのか、ちょっと記憶が飛んでしまっています。
ちなみにこの曲のジャケットは、私の友人の、若き“演劇人”でもある金澤卓哉さんの日常的なフォトグラフを本人にちょっと頼み込んで採用しました。この曲のどこか飄々とした雰囲気が、ジャケットのイメージにも現れていると思います。こうしたフォトの採用は、自作自演を常にポリシーとしている私個人の制作ではとても希なケースなのです。

最終曲の「悲しみのバルテュス」については、もう説明する必要はないでしょう。それがそのままの私のメッセージです。
「舞踏のための音楽プロジェクト」はそもそも《仮想演劇》を最初に標榜して、ストーリーのある舞踏を構成しました。全13曲を通じて、ここに「愛」と「エロス」が感じられたとしたら幸いです。《舞踏》について考えることは、私の中でこれからもずっと続くでしょう。これが《音楽》にとって最も自由で創造的な世界であることを、今回の経験でよく分かりました。いつかまた別の機会で、チャレンジしたいと思います。

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