侘びの世界へ―Flower's Topology

「Gender」のハイレゾ感

【ヴォーカルで使用したOverloud EQ495】
オリジナル曲「Gender」のミキシングとマスタリングについて書いていきたいと思います。

前回の「『Gender』―僕は何者?」では、見た目がいかつい?マイクロフォンAston Originによって録られたヴォーカルについて説明しましたが、ミキシングではこれらのヴォーカルのソロとステレオ化されたバッキングに、それぞれフェイザーとコーラスのエフェクトをかけています。ソロの方では、さらにディレイもわずかに加えています。
非常にブライトに処理されたヴォーカルと、センターに位置したリズム・パート(音源はOP-1)のナローなサウンドとの対比は聴感上ヴォーカルを引き立たせる効果があり、なおかつどちらもぶつからずに聴けるバランスになっています。ちなみに、ヴォーカルに使用したEQは、OverloudのEQ495です。このプラグインのモデルとなっているビニール・トランスファー・コンソールというのは、おそらくノイマンのVMS-70なのではないかと思うのですが、どうでしょう。いずれにしても、高域をブーストした時のなんとも言えないソフトな訛り感は、他のEQでは真似できないかも知れません。

【Pro Toolsでのミキサー画面】
マスタリングにおけるトータル・サウンドに対するEQ処理(Steinberg WaveLab Pro 9使用)は、実に理路整然としたものでした。30Hzあたりから下を、シェルでそれなりに大胆なカーブを描くようにカットし、100Hzあたりを少しブースト。これらの処理によって、この曲のリズムの気持ちのいい低域が形成され、中低域では濁ってごたまって聴こえてしまう500Hzあたりをややカット。これでかなりすっきりしたサウンドになるのですが、このままだとまだ若干、ハイレゾ感が足りない。そこで、12kHzより上をシェルでわずかにブースト。明るさのある輝きが適度に加わりました。

もし仮にこの曲のコンセプトとして、「“いかつさ”を強調したサウンド」にしようと思ったら、最後の高域のブーストはいりません。しかし、この曲のコンセプトはそうではなく、モダンなサウンドをコンセプトとしたものなので、EQ処理もそれに準じています。サウンドのデザインというのは、イメージをとても誘発し、人工的なのかナチュラルなのかといった潜在的な感覚が刺戟されます。「Gender」はとても短い曲ですが、一つのミュージック・アートとしての側面を感じ取ってもらえたら幸いです。

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