侘びの世界へ―Flower's Topology

縞と斑の祭典―Gの洗礼

【今アルバム『Gの洗礼』のオリジナル・トレード・マーク】
今秋、新作アルバムのためのプロジェクトを始動しました。アルバムのタイトルは、『Gの洗礼』です。このアルバムの体裁は、有料配信によるコンセプト・ミニ・アルバムということになります。

南米の南端に、フエゴ諸島があります。かつてそこに、セルクナム族という先住民の部族が住んでいました。1880年頃より、西洋人の入植者達の征服によって彼らとその文化は排除され、伝染病が蔓延した影響もあって、1930年頃では4,000人いた部族は100人にまで激減したと言われています。彼らの末裔は1999年、その最後の女性の死亡によって絶滅したそうです。
1922年から24年にかけて、ドイツ人の人類学者であった宣教師マルティン・グシンデは、彼らセルクナムの“奇怪な祭り”を写真や文書で残しました。この“奇怪な祭り”について、アメリカの人類学者アン・チャップマン(Anne Mackaye Chapman)がグシンデが残した記録をもとに研究し、著書にしたためています。
それが、2008年刊の“Hain: Initiation Ceremony of the Selknam of Tierra del Fuego”です。私はこれの日本語訳版(大川豪司訳・新評論)を見、まずそのグシンデが撮影した“ハイン”という祭りの、彼らセルクナムの奇怪なボディ・ペインティングに圧倒され、魅了され、直感ですぐ、これを音楽にしていこうと思いました。

『Gの洗礼』の“G”とは、宣教師グシンデを指します。また彼らの“奇怪な祭り”そのものには、音楽的要素が乏しく詠唱があるのみで、彼らのボディ・ペインティングやその詠唱をそっくりそのまま今アルバムで流用する気は、毛頭ありません。彼らの祭りのスタイルをデフォルメしてイラストにし、あるいは私の創作で紋章を拵え、音楽についてはもちろん私自身の完全なる創作。あくまで彼らセルクナムの祭りからインスパイアされたものを音楽的に投じたアルバム――という意味での、コンセプト・ミニ・アルバム、それが『Gの洗礼』です。

4月にレコーディングした紺野秀行さん(コント集団・自己批判ショー所属メンバー)のリズム・セクション(当ブログ「紺野さんのカスンケ―そのアフリカンなリズム」参照)も今アルバムの収録曲とし、その他の曲に関しても、UVIのFalconを使ったり、OP-1やRoland JD-Xi、microKORG、minilogue、さらに最近購入したRoland D-05(ヴィンテージ・シンセD-50を再現)などを使用する予定です。
そしてさらに今回、私個人としては初めての試みとなるVOCALOIDを使用します。これによってヴォーカル曲は、表現の奥行きがより広がると思います。また、プリ・マスタリングは新着のiZotope OZONE 8を使用する予定。おっと、忘れていました。今回使用する面白い楽器として、“ビスコ缶”を叩きます。“ビスコ缶”って、あのグリコのビスコのことです。
とにかく、面白い楽しい制作になると思いますので、作品の完成までの道程を是非ともご堪能下さい。近々、今アルバム用のテスト・レコーディングやテスト・マスタリングなどをおこなうかも知れません。乞うご期待!

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