スーブニールの具象化―「Whose Is The Wristwatch?」

侘びの世界へ―Flower's Topology

【iPhoneでアプリ[Bloom]を即興演奏】
突然思いついた企画として、「Bloomという響きのチャペル」というプレイリストを立ち上げることにしました。Bloomとは、ブライアン・イーノとピーター・チルヴァーズが開発したアプリケーション・ソフトウェア[Bloom]のことで、過去に私は4曲ほど、これを使用してインプロヴィゼーション・レコーディングを試みた作品を上げています。これに加え、今回新たに「Flower's Topology」という曲をレコーディングしたので、これら全5曲により、Bloomの荘厳なる《癒し》のサウンドをプレイリストとして堪能いただけるのではないかと思っています。

【この曲ではダビングしないということに…】
さて、最新の「Flower's Topology」についてですが、先日レコーディングを終えたばかりです。昨年の「舞踏のための音楽プロジェクト」では、「Love and Blue」という曲でアプリ[Bloom]のインプロヴィゼーションに対し、ピアノとドラムをダビングして絶妙なアンサンブルとしたことがありますが、今回はそうしたダビングの手法を用いることが、結果的にできませんでした。何故なら、あまりにも[Bloom]によるインプロヴィゼーションの“かたち”が、完全無欠然としていたから。
「Flower's Topology」を何故作ろうとしたか、何故いま[Bloom]を用いようと思ったのかについては、ここでは説明を省きます。完成後の本曲のウェブページにそれは書くことにします。しかし、不思議なことだけれど、今回インプロヴィゼーションした結果の響きが、とても満ち足りた悠然としたものだったため、私はこれに何かを付け加えることができませんでした。当初はダビングのためのいくつかのパートを想定していたのですが…。

【UADプラグインNeve 88RS】
Pro Toolsでのレコーディングでは、UADのDSPプラグインNeve 88RSチャンネル・ストリップにアプリ[Bloom]からの出力を通しています。実は[Bloom]のサウンドの処理はとても難しく、過去の作品においては、ミキシングやマスタリングで何度かやり直しをしたことがあります。
何が難しいかというと、インプロヴィゼーションの成り行きによって突発的に跳ね上がるアタックのピークが乱交するため、ダイナミック・レンジがけっこう広く、録音レベルを適正にするのが難しいのです。一定の音圧とピークとの差をある程度圧縮しつつ、レンジのワイド感を残しておきたいという我が儘な要求――。
こうしたことを嫌がり、インプロヴィゼーションのパフォーマンスが半ば意識的に萎縮してしまったのでは、本末転倒。何の意味もありません。事前のテスト・パフォーマンスによって最適なコンプレッションのニュアンスを掴み、今回は本番に臨みました。こうして突発的なアタックは適度に抑えられ、音圧についても録音レベルの条件を満たしました。

[Bloom]は、プレイヤーが入力した音程を単にフィードバックさせてrecoverしているのではなく、徐々にそのフィードバックする速度が落ち、音数が減っていくところに特徴があります。「Flower's Topology」では、最初のアルペジオ的な即興フレーズをフィードバックさせておき、これを願わくば最後まで持続させ、ほとんど最後の方では音数が1音しかない状態で別のソロ的なメロディが次々と加えられていく、といったような手法を用いました。[Bloom]とはもう長い付き合いになるので、ちょっとmatureなやり方になるわけです。

完成したら、無料配信します。乞うご期待。

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